感謝の気持ち (リク) ページ5
・
暖かい陽射しが差し込む午後、久しぶりのオフだと言って午前中からリビングで一人のんびり本を読んでるのは阿部ちゃん。
「阿部ちゃん、掃除機かけるけど煩かったらごめんね!」
「ううん。いつも綺麗にしてくれてありがとう」
パタパタとリビングとキッチンを行き来していれば、ひょこと顔を上げた阿部ちゃんが、
「Aさん、俺なにか手伝うことある?」
「え? でもせっかくのオフなのに、」
「全然いいよ! なにしたらいい?」
うわー、正直助かります。
今日は天気が良かったから、みんなの布団を干してたんだよね。
そろそろ取り込んでおこうと思うけど、9人分ともなると結構な重労働だから。
「これ毎日してくれてたの?」
「毎日はしないよ。 天気が良ければ週に二回ぐらいはしてるかな」
「………」
さすが男の子で、華奢に見えても私より余裕で取り込んでくれて助かった。
予定より早く休憩できたから、こっそり買っておいた梨を剥いて阿部ちゃんの前に置く。
「あ、梨だ」
「良かったらどうぞ。お手伝いありがとうね」
パタリと本を閉じて、爪楊枝を刺してパクリと梨を頬張って「んー!」と美味しそうに緩む顔。
ふふ、可愛いなあ。
「シャク……もぐもぐ、シャク…もぐ、」
ん、みずみずしくて美味しい。
「ねえ、Aさん」
「ん?」
「いつも本当にありがとうね」
もぐもぐしていたお口がゆっくりと止まって、ふわっと優しく笑う阿部ちゃんに思わず見惚れてしまう。
「今日Aさん見てたら思ったんだ。俺たちはたまにこうしてオフがあるけど、Aさんは毎日家事を頑張ってくれてて休みなんてないんだよね。それで俺たちが毎日気持ちよく過ごせるのもAさんが頑張ってくれてるおかげなんだなーって」
「えっと、」
「だからありがとうって伝えなきゃなって思って」
「……んふ、こちらこそありがとう」
そう思ってくれる事が嬉しいから。
「Aさんみたいな人をお嫁にさんにもらえたら幸せだろうね」
突然の爆弾投下に内心驚きつつも、阿部ちゃんは何でもないという顔を貫いているので私も平静を装ってみる。
まったくここにいる彼らは時々ドキッとするような事を言ったり、やったりするから最近ちょっとだけ、
ちょーーーっとだけ、心がソワソワして落ち着かないじゃないか。
.
4105人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - まり姉さん» 教えてくださりありがとうございます(^^) (2021年1月19日 19時) (レス) id: 4f915fb25c (このIDを非表示/違反報告)
まり姉(プロフ) - ちょっとした変化の1ページ目の最後のとこが名前変換されてないですよ?? (2021年1月19日 18時) (レス) id: 632dd79117 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ふさん» ふ様。お返事が遅くなりすみません!そして、あけましておめでとうございます!どうぞ今年も宜しくお願いします(^^)のんびりスタートとなってますか、また楽しんでもらえるように頑張ります! (2021年1月8日 23時) (レス) id: 98ff3b079e (このIDを非表示/違反報告)
ふ - 明けましておめでとうございます♪今年も素敵なストーリー楽しみにしています(☆▽☆) (2021年1月6日 16時) (レス) id: 3ae47a3069 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - SACHIさん» ヤバいですか(笑)やばくなるように書きましたので、その反応が有難いです(o^^o) (2020年12月31日 9時) (レス) id: 98ff3b079e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年10月30日 10時