強がらなくていいよ (リク) ページ30
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「Aさん、ちょっといい?」
一番最後にお風呂に入って出てきたところを、辰哉くんに腕を引かれた。
どうやらずっと待たせていたみたい。
「どうしたの?」と尋ねると、少し言葉を濁しつつ二階を見上げた。
「なんかさー、佐久間がね。元気ないのよ」
「佐久間くんが?」
あの元気印な佐久間くんが?
この人たちの中で常に賑やかなのが佐久間くんと康二くんだけど、康二くんは元々が甘えたさんなのか時々借りてきた猫のように大人しくなる事もあるけど、佐久間くんに至ってはあまりそんな様子も見ない。
「今日、別の仕事だったけど帰りはマネに一緒に送ってもらってね。ずっとヘッドホンしてアニメ見てて。なあんかあったんじゃないかなって」
「そうなんだ」
長年一緒にいる辰哉くんがそう思うのならそうなんだろう。
私も気になり始めて、辰哉くんに釣られるように上を見上げてみる。
「ね、ちょっとさ話聞いてやってくんない?」
「私が?」
乾かしたばかりの下ろした髪を、するっと指で掬われる。
そしてクルクルと指に絡めて遊ぶ辰哉くん。
「ん。たぶんね、俺たちじゃダメなのよー。強がっちゃってね。だからお願い」
「……っ、聞いてみるけど」
「んー?」
いつの間にか壁に寄せられて、口角を上げた辰哉くんがニヤニヤと楽しそうに詰め寄ってくるから、なんか分からないけどゾワゾワとなって落ち着かない。
辰哉くんってテレビでは三枚目キャラだって言うけど、結構普段はこうして色っぽい事をしてきたり、レディファーストだったりと、実はこの人かっこよさをわざと隠してるんじゃないかと思うんだよね。
「役に立てるかは分からないからね?」
「うん、大丈夫。話聞くだけでいいからさ。あ、それと毛先までちゃんと乾かさねえとまた風邪ひくよー」
"また"というのに引っ掛かりつつも、善は急げと私は手を振る辰哉くんに見送られながら佐久間くんの部屋へ向かった。
コンコン
コンコン
コンコ……
「入るねー」
「…あ、不法侵入でやんすよ」
応答無いから辰哉くんが心配していた事もあって心配でドアノブを回せば、鍵はかかっておらずすんなり開いてしまった。
部屋に入れば、真正面にドーンとあるベットに寝転んだ佐久間くんが顔だけを起こして私を見てる。
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ゆきんこ(プロフ) - まり姉さん» 教えてくださりありがとうございます(^^) (2021年1月19日 19時) (レス) id: 4f915fb25c (このIDを非表示/違反報告)
まり姉(プロフ) - ちょっとした変化の1ページ目の最後のとこが名前変換されてないですよ?? (2021年1月19日 18時) (レス) id: 632dd79117 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ふさん» ふ様。お返事が遅くなりすみません!そして、あけましておめでとうございます!どうぞ今年も宜しくお願いします(^^)のんびりスタートとなってますか、また楽しんでもらえるように頑張ります! (2021年1月8日 23時) (レス) id: 98ff3b079e (このIDを非表示/違反報告)
ふ - 明けましておめでとうございます♪今年も素敵なストーリー楽しみにしています(☆▽☆) (2021年1月6日 16時) (レス) id: 3ae47a3069 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - SACHIさん» ヤバいですか(笑)やばくなるように書きましたので、その反応が有難いです(o^^o) (2020年12月31日 9時) (レス) id: 98ff3b079e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年10月30日 10時