え、待ってカッコ良すぎ【白布賢二郎】 (ページ12)

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62話ページ12

「……あの」

すると、白布君が口を開いた

その時一瞬、こちらを見てくれたかと思えば、またすぐに逸らされた

『何…？』

少し口ごもった後で、白布君は声を発した

「……Aさん、今、……楽しい、ですか……？」

『……っえ、』

思いがけない問いに、私は目が点になった

え、な、何だその質問…。親から送られてくる手紙の序文みたいな…。

『え、えぇ～～～っと…、楽しい、よ…？どうしたの急に？』

「……俺が、貴女を引き入れたも同然だから」

少し険しい顔をして、そう言った白布君

……っあ

『……もしかして……、責任感じてる？』

そう問いかけると、彼の肩が少しだけ上下した

何だ、そういうことか

『全然気にしなくていいよ！大丈夫！それに、今は物凄く楽しいんだ
マネージャーだけど、部活をこんなに楽しいと思ったのは初めて

……それもこれも、全部、白布君のおかげだよ』

笑ってそう言うと、白布君は少しの間、目を合わせてくれた

その後、「…そうですか」と言って、そっぽを向いてしまったけれど

でもなるほど、やっと納得がいったよ

『だから今まで距離を置いてたんだね！』

「…っえ、」

『？中々目合わせてくれなかったから』

「…あ、あぁ…、まぁ…、…はい」

そっかそっかー！理解した！私も変に意識しすぎてたな～

『よし！じゃあテーピングも終わったし、今日も無理なく頑張ろうか！』

何だか一気に安心して、勢いで白布君の頭をわしゃわしゃ撫でた

　

『おしっ！お前等そろそろ休憩入れ～！』

私はずっと練習をしていたみんなに向かって声を掛け、スポドリとタオルを持って走っていった

おっしゃー今日も頑張るかねー！

・

「……っ……」

「……そういうの、ホントずるいんですけど……」

その頃、白布君が頭を抱えてそう呟いていたことなど、私は知る由もない