え、待ってカッコ良すぎ【白布賢二郎】 (ページ2)

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52話ページ2

白布SIDE

──二セット目終盤──

「ネットイン！前前！」

26-25 こちらのセットポイント

天童さんの意識は確実に五色に集中している

完全に騙されてるな…。

俺は相手にバレないように、Aさんに視線を向けた

偶然にもこちらを見ていたAさんと目が合う

少し驚いた表情をしていた

五色がレシーブする

(貴方はこれくらいで、折れる人じゃないですよね？)

Aさんが助走に入る

……けど、さっきまでとは、明らかに違う

──ブロード

流石に驚いた。まぁ、何かやってくれるかもしれないとは思っていたけど

Aさんのブロードなんて、初めて見た

……その時一瞬、こちらに視線をやったAさんの表情は、物凄く好戦的だった

合わせられるなら合わせてみろ、ってことかな…。

生憎、これくらいのこと、全く苦にならないですよ

天童さん達が急いでブロックに入ろうとするが、もう遅い

Aさんが思いっきりスイングした

…もうそこに、彼女の行く手を阻むブロックは、いなかった

──俺は、貴女の力に、なれただろうか

相手コートに、ボールが落ちた

ピッ

ピッピィ──ｯ

二セット目終了の笛が鳴っても、Aさんは少しの間、その場から動かなかった

…否、動けなかったのかもしれない

凄いな……、何だこの感じ

試合開始の時と比べて、明らかに、彼女の表情は一変した

もう二度と、バレーをして笑ってくれることはないんじゃないかと思っていた

バレーを、楽しんでくれることはないんじゃないかと思っていた

──だけど、そんな思いはもうない

彼女が俺の方へ振り向いて、俺は、自然と笑みを溢してしまっていた