14.諦めの悪い男 ページ14
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『す、好き……って、』
三「返事は今すぐじゃなくていいよ。あとひとつ言っとくけど、俺はやりてぇだけのその辺の男とは違う。本気でお前のこと好きだから。」
真っ直ぐに私を見つめてくる視線に、正直ドキドキしたのが本音だった。だけど、私みたいな嫌われ者に三ツ谷のようないい人は釣り合わない。一緒にいても、幸せにはなれない。どうしたって灰谷兄弟の妹である私が敵の弐番隊隊長の恋人になるなんて、許されないことなんだ。
それにいくら信頼を置いている三ツ谷だからって、やりたいだけの奴とは違うと言われても、イマイチ信じきれない。だって男は男だもん。
『………やめといた方がいーよ。』
三「なんで？」
『私、三ツ谷が思ってるほどいい子じゃないから。たまたまいつも一緒にいる女の子が私だから勘違いしてるだけかもじゃん？それに男関係でいい思いしたことないし………なんか、やりたいだけの奴と違うって言われてもあんまり信じられない。』
三「へー、それが理由？俺のこと好きじゃないからとかじゃなくて？」
『え、ちょ……顔近い………っ、』
三「なぁ、どうなんだよ？」
三ツ谷のこといいなって思ってる気持ちは、ある。それに気づいたのは昨日の東卍の集会の時、エマと少し話してからだ。少しも好きじゃないのかと聞かれて完全な否定はできなかったから。この人は恐らく、察しがいい。私の気持ちに気付いた上で、こんな風に言っている。
三「まぁいいけど。俺、諦め悪ぃからさ、振られたくらいで諦めらんねぇんだわ。」
『え』
三「だからこれから俺がどんだけお前のこと好きか、本当にその辺の野郎とは違うってことも、たっぷり時間かけて教えてやる。覚悟しとけよ。」
『えっ、いや……エッ！？』
私は今、告白を断ったはずだ。それなのに。
どれだけ好きなのか教えてやるって………いや結構ですけど！？どうしたらいいの！？しかもそれだけ言って帰っちゃったし。言い逃げじゃん。と、とりあえず、下で蘭兄が待ってるから学校を出よう。そう思った時にハッとした。昨日の今日で、蘭兄と三ツ谷が鉢合わせになったらまずくない？？？
心配になった私は鞄を持ち、昇降口へと急いだ。
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作者名：ゆ | 作成日時：2023年10月15日 22時
