2.灰谷家の末っ子 ページ2
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1990年4月16日。
灰谷家の長女、末っ子として私は生まれた。
最初はよかった。母と父は女の子が生まれるのを待望していたらしく、初めは可愛がられた。だが、私ばかり可愛がって兄二人を放置するくらいのクズ両親だった。少し大きくなってくると、飽きて、捨てられた。
5歳の誕生日のことだった。私は両親が話し込んでいるのを目撃した。
母「やっぱり子どもがいるとお金もかかって面倒ね。」
父「そうだな。いっその事、捨てちまうか?」
母「え、捨てるって……でもそんなのバレたら私たち捕まるんじゃない?」
父「いや子どもらをこの家に置いて俺たちが出て行くんだ。離れた場所に俺の別荘がある。そこで暮らそう、誰もいない所で二人きりで過ごす方がいいだろ?大丈夫、蘭はもう8歳だしなんとかやれるさ。」
母「そうね、そうしましょう♡」
捨てるだとか、出て行くだとか、そんなワードが聞こえてまだ5歳だったけれどこの人たちは本気で私を愛していたわけじゃないんだと理解した。なんて、クズな親の元に生まれてきてしまったんだろうと絶望した。
蘭「A」
『!………蘭兄、』
蘭「
3つ上の兄の蘭。兄がそばにいたことも気づかないくらい、話に聞き入ってしまっていたらしい。兄に言われて初めて自分が泣いていることに気づいた。
竜「兄ちゃんは一人じゃねぇぞ、俺もいる。」
『竜兄………』
竜「Aは独りじゃない、俺たちがいるからな。」
蘭「何カッコつけてんだよ、竜胆。」
竜「うっせ、可愛い妹の前なんだからカッコつけさせてよ。」
翌日、両親は本当に家を出て行った。幾らかのお金とこの家にはもう帰らないと置き手紙を残して。あの人たちには情の欠片もないんだ。悲しかったけれど、不思議とそこまでダメージは食らわなかった。それはきっと兄たちがいたからだ。
『お兄ちゃん、大好きだよ』
「「それどっちに言ってる?」」
蘭「俺だろ。」
竜「いや俺だし。」
『どっちも♡』
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作者名:ゆ | 作成日時:2023年10月15日 22時