10もう一人の自分 ページ10
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真っ暗な闇の中
どこからともなく火の粉まじりの熱い風が
正面から吹き付けてくる。
その風が
熱くて熱くてたまらない。
風をよけようと思っても
足が
地面に縫い付けられているように
全然動かない。
苦しい･･
息が
苦しい･･。
目も開けられない。
でもここで雅紀は気づいた。
あぁ
これは夢なんだ。
小さい時から
熱が出たときに繰り返し見たあの夢なんだ･･
と気がついた。
体が熱い。
そのせいなのか
夢なのに
雅紀は喉が渇いて仕方がなかった。
(誰か･･、お水･･)
と思っていても
全然言葉にならない。
声が出ない。
(･･お、おみず、お水が･･ほし･･ぃ)
雅紀の声なき声が聞こえたのか？
唇になにか冷たいものが触れたと思うとすぐに
冷たい水がほんの少し
雅紀の喉をはしっていった。
「･･あ･･っ！」
驚きの声を上げると
今度は
唇がなにかに覆われ
さっきよりも多くの水が
雅紀の口の中に入ってきた。
「い、いや･･っ！」
反射的に首を振って逃げようとしたが
しっかりと顎をつかまれていて
逃げられない。
またすぐに
唇は冷たくて柔らかなものに覆われてしまった。
ｺｸ･･ﾝ
雅紀の喉が鳴る。
ｺｸ･･
一口
もう一口
と
また
冷たい水が
乾ききった喉を潤していく。
喉だけでなく
足の先まで冷たい水が行き渡り
体を火照らせていた熱が
すーっと
ひいていくのを感じた。
胸がふさがれたように苦しかった息も
今はずっと楽になった。
ふ･･っと
目を開けると
すぐ目の前には･･
鏡があるのだろうか？
自分と同じ顔が
自分を覗き込んでいる。
「 ･･ え？」
パチパチとまばたきをしたが
鼻先が触れるくらいのすぐ近くで
自分と同じ顔が
ニコニコ笑っている。
そして
「雅紀、目が覚めた？」
自分が自分に話しかけてきた。
まだ
夢を見ているのだろうか？
ぼーっとしていると
「雅紀、どうしたの？ 気分が悪いの？」
眉をひそめて
そっと額に手をあててくる自分と同じ顔。
「熱はないようだけど･･」
心配そうに雅紀を見つめる黒い瞳を
じいっと見返しながら
雅紀は
「･･もしかして、うつほ･･？」
とつぶやいた。
すると
目の前の自分と同じ顔が
ニコッと笑ってうなずいた。
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さっこ(プロフ) - はっしーさん！嬉しい〜！！始めから読み直して復習死出お待ちしてます^_^ (2020年9月1日 19時) (
レス) id: fedeb916ac (このIDを非表示/違反報告)
asami(プロフ) - あやかしの続編待ってました！ありがとうございます。またこの個性豊かな素敵な仲間たちに出会えて嬉しいです。雅紀様バンザイ！！ (2020年8月31日 23時) (レス) id: 58c67b34bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はっしー
作成日時：2020年8月27日 23時
