崩される日常 (ページ41)

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39話ページ41

Ｓ side

雅紀..。お前は何に苦しんでいるんだ。

A 「なんなの。今さら。
謝りに来た？」

青年 3 「そうだよ。俺達あの時のこと
後悔してるんだ。」

A 「後悔してるなんて、大嘘もいいとこだよ。
ほんとに後悔して、謝りたいと思ったなら
2年も早く出所してくるなんておかしいだろ？」

青年3 「それは...」

出所？どいうことだ？

A 「どうせお前達の事だ。親の力でも使って
出てきたんだろ？ほんと、どこまでも
汚いヤツだよ。」

雅紀は、ポツリポツリと語り出した。

A 「俺がどれだけ痛みに、苦しみに耐えたか

分かるか？分からないだろ？だってお前らが

俺を痛めつけてた張本人なんだから。

お前達の身勝手な嫉妬のせいであの2年間は地獄

以外の何者でもなかった。

何度も殺されかけた。

毎日暴力をうけて、水の張ったバケツに

顔を押さえつけられて、真冬の日に体育倉庫

に丸一晩閉じ込められて、二階のベランダ

から突き落とされて、お前らは平気で

笑いながら俺を痛めつけた。

俺が何度も『やめて』と叫んでもお前らの

行動はエスカレートしていく一方。

お俺にとってお前らが吐く暴言はナイフだった。

周りからの冷めた視線は毒だった。

毎日毎日、あの2年間俺はナイフに刺され続け

毒を飲み続けた。死んだも同然だった。

いっその事殺してくれればいいのに、

お前らは俺が気を失う所までしかしなかった。

だけど、そんな地獄にも終止符がついた。

あの日、お前らは俺に塩酸を飲ませようと

した。必死に抵抗した。その時引っ掻いて

しまった俺にキレてお前は近くにあった

カッターを握り『お前ら抑えてろ。許さねぇ。』

そう言って、俺をうつ伏せにして跨り、

俺の背中にナイフを振りかざした。｣

そこまで言うと雅紀は着ていたＴシャツを脱いだ。

俺は目を疑った。だって、雅紀の背中には

背中全体を覆うように(×)の形をした

傷が大きく刻まれてた。

Ｓ「嘘だろ...。」

Ｎ「なんてことを...。」

ニノは目にいっぱい涙を溜めて息を吐くように

そう言った。

A 「お前らが刻んだ傷だよ。
覚えてるだろ？」

そういいながら雅紀は静かに涙を流した。