クリスマスの夜_JM_ ページ7
12月25日。
クリスマスの夜。
幸せそうなカップルや家族が眩しいほどの笑顔で過ぎ去って行く街にぽつんと1人きりな私は行き先もなくただ歩く。
今日は大好きな彼氏とデートをする予定だった。
この日のために、給料が入ってすぐに思い切ってワンピースを買ったり、香水を変えようかと考えてみたり...
舞い上がりすぎていた私。
しかし昨夜の彼からのメールには
"ごめん。急に出張になっちゃって明日のデート無理になった。クリスマスなのにごめんな。"
その瞬間、昨日まで舞い上がっていた私は一気に振り落とされた。
...仕事だから仕方ないよね。
なんでも真面目な彼だから....
そう自分に言い聞かせ、でもせっかくのクリスマスだし家に1人でいるのも寂しくて少し外に出てみることにした。
でもやっぱり寂しいな...
周りから見る私は彼氏もいない1人きりの寂しい人間に見えるのだろうか。
『...ジミナ』
1人で呟いた"彼の名前"は、賑やかな街の音にかき消されてしまった。
きのうまで想像していた"今日の私"は一体どこへ行ってしまったんだろう。
着るのを楽しみにしていたワンピースも、もう着たくなかった。
1人でぽつぽつ歩いている自分が、だんだんみじめに思えてきた。
ああもう、ほんとやだな。
そう思った私は、もう家に帰ろうと思い、体を家の方向に戻す。
ふと、目の前にある高級そうなアクセサリー店に目をやった時、
『...え』
今ここにいるはずのない彼が、中で何かを選んでいる。
...ありえない。
そんなはず...
でも、私が彼を見間違えるわけがなかった。
真っ黒のスーツに身を包んだ今1番憎くて...
愛しい彼を。
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作者名:Ri-a | 作成日時:2016年3月14日 12時