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急いで用意をして手ぶらで家を出て下に降りると
そこにはまだ少しメイクが落ちきっていない”アイドル”のグクが立っていた。
『グク...』
「ちゃんと俺の走り見たか?」
ニヤニヤしながら私を見る彼。
『見に行ってないよ』
「は?」
思わず嘘をついてしまった。
「なにそれ。昨日電話で来るって言ってたじゃん」
『ご、ごめんね。今日体調悪くて』
「え、ほんとに?」
そう言って私の額に手を当てようとするグクをよけてしまった。
「おい」
『あ、えっと、もう治ったから』
私がそう言うと、心配そうに手をポケットに戻す彼。
「お前」
『なに』
そう言うと不思議そうに私の顔をジロジロ見つめる大きな目。
「体調悪いくせになんでそんなメイクしてんの」
『え』
...やっぱりばれた。
「俺何年お前と一緒にいると思ってんの?」
『...』
恥ずかしくて俯いてしまう。
「来たなら来たって素直に言えばいいだろ」
『...ごめん』
小さくそう言うと、グクがだんだん近づいてきた
『グク』
「ん?」
『私、ちゃんとグクの彼女やっていけてる?』
「は?」
なんだか思ってもいない言葉が出てきて、目が滲む。
ピタッと止まったグクの足。
「なに急に」
『だってグクはアイドルでしょ。周りには綺麗な人いっぱいだし私なんかとつり合うのかなって』
「だからなに」
『私自分に自信ないの。可愛くないし別にスタイル良くないし、なんでグクが私なんかと付き合ってるのかなって』
「うん」
何か言いたそうだけど黙って聞いているグク。
気づけば涙が出ていた。
『今日だっていっぱい連絡先聞かれてたでしょ?』
思わず言ってしまいグクを見ると、彼は目を見開いていた。
「聞かれたけど」
やっぱり。
『...グク、本当に私なんかでいいと思ってるのかなって』
なんかこういうのって私らしくない。かっこわるい。
「なあお前」
すると、突然グクが口を開いた。
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作者名:Ri-a | 作成日時:2016年3月14日 12時