【黒執事】その女神、退屈 (ページ6)

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第4話ページ6

「・・・」

主人が息を呑んだのが分かりセバスチャンは悟られないよう腹の中で嗤った

(人にはとても・・刺激が強いのでしょうか)

人外(それ)は確かにシエルと同じくらいの歳の少女ではあったが

あまりにも美しすぎた

嫌でも社交会に出れば
煌びやかなドレスを身に纏い、仕草やメイク、確かに彼処にも美女は居たし、充分なくらい自分は見て来た

しかし目の前の少女はどうだろう

比べ物にならない程のモノだった

少女と目が合う

「此方はファントムハイヴ家の領主、シエル・ファントムハイヴ様です」

自分の執事は続ける

「私は主人に仕える執事のセバスチャン・ミカエリスと申します」

『そう・・此処はあなたの・・』

手当ても着替えもありがとうと目を伏せて言う少女

「お前のような(・・・)奴がなぜ此処に居る？怪我をしていたと聞いたが？」

シエルは振り切るように聞くと少女は妖艶に微笑む

『お陰様で怪我はもう無いわ
・・・あなたも悪魔(それ)を側に置いてるでしょう？』

ま、契約はしてないけどね。と彼女は言った

「！同じなのか？」

少女は少し楽しそうに笑う

『似ているけど堕ちた・・・異なったモノよ』

そうか・・とシエルは考える素振りをした

「名前は何と言うんだ？」

コチラを真っ直ぐに見つめる大きな左目

『・・名前はもう無い』

シエルにはこの時だけは少女が儚げに見えて仕方なかった

「ならお前はー A ー

僕と契約をしろ

お前の力が欲しい」

Aと呼ばれた美しい少女は何処か楽しげだった

『既に契約してる貴方に、私にメリットなんてあるの？』

「お前に退屈な思いはさせない」

命はやれないがな。と今度はシエルが笑った