怒り心頭の最強。 ページ9
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上空。
月の光に照らされながら東京の街並みを見下ろす男が一人。
彼の瞳は一体何を映しているのか、何を宿しているのか。その目はいつにも増して真剣そのもの。
現代最強の呪術師、五条悟。
彼の持つ六眼はありとあらゆる術式を見破り、どんな微細な呪力の流れも察知する。更には五条家相伝の術式である無下限呪術を使いこなすことでいかなる強敵も圧倒した。
まさに、最強。
しかし、今日はそんな頼もしい彼の姿はない。
焦り、苛立ち、そして小さな恐れ。
五条悟の人間としての弱さが垣間見えていた。だが、ソレはこんな言葉で表せていいような可愛いものではない。
ドス黒く、禍々しい。
包帯の下から覗く青い宝石の奥にはナニカがあった。彼の心に深く纏わりつくナニカが。
乱暴にポケットからスマホを取り出し、慣れた手つきで画面の先の人物に対して口を開く。
「伊地知、今から捜索にあたっている呪術師、補助監督全員に伝えろ。
ヤツは少なくとも、もう東京にはいない、と」
伊地知と呼ばれた男は五条の言葉に驚きを隠せないようで、画面からは動揺の声が度々漏れている。
しかし、今の五条にとっては至極どうでもいいことであった。故に、ブチリとこちらから通話を切った。
入り乱れる様々な感情により、力の制御にも影響が出てパキリと握っていたスマホが割れる。
彼から漂う膨大な呪力は激しく揺れ蠢いている。
今の彼は火薬庫だ。
少しでも今の彼をつつけば此処ら一帯は阿鼻叫喚と化すだろう。彼にはそれだけの力があり、それだけの強い感情が渦巻いていた。
時間が過ぎるにつれて悪くなっていく機嫌。
五条はドスの効いた低い声で小さく呟いた。
「—————逃げてんじゃねぇよ、人様の気持ちを弄びやがって…………」
その言葉の意味を知る者は現時点で、本人を除いてどこにもいない。
一方、とある車内では。
「ぶえーっくしょい!!!」
「きったね! 唾飛ばすなや俺の車だぞ!!
まったく……ほら、そろそろ群馬に入るぞ」
「うぇーい! めがね橋寄ってこうぜ!!」
「馬鹿め。草津温泉からに決まってんだろ」
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ガシヤマ(プロフ) - セネリオさん» コメントありがとうございます! 最近ギャグセンスを極められるようお笑いいっぱい見てます、面白いって言ってもらえて嬉しいです! (3月28日 15時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - 文脈おもろすぎてウケる。オリ主同士でここまで面白くなるの,って驚きました。とにかく良き…! (3月28日 9時) (レス) @page8 id: 989a98e326 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ(プロフ) - サンドレラ2世さん» コメントありがとうございます! 男の友情は美味しいですよね、こういう友達いたらいいな〜って思いながらなんやかんやで生まれたのが柴田君です。最初はもっとモブみたいな感じにしようかと思ったんですけど結構主要キャラみたいになっちゃいました。 (3月11日 21時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
サンドレラ2世 - 友情系大好きです。読んでてめっちゃ興奮しました。生まれてきてくれて有難うございます。 (3月11日 21時) (レス) id: 0ee11eb3e3 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ(プロフ) - 春の川さん» コメントありがとうございます! オリ主同士の絡みってあんまり需要無いかな〜って思って結構省いちゃいました。今思うとものすごく後悔しています、はあ。 (2月12日 15時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ガシヤマ x他1人 | 作成日時:2024年1月21日 23時