なんか知らんけど狙われてるってよ、俺。【呪術廻戦】

通報しなくちゃね。 ページ4

・


「不法侵入してきたイケメンに逃げろって言われて理由もわからず逃走中？ マジで言ってんのソレ」


「マジ。じゃないとわざわざ大学サボッてまで東京から埼玉まで来ない」


「お前流されすぎ、心配になってくるわあ」


　そう言って引き気味の目を向けてくる高校時代の親友、柴田。高校時代は職員室に爆竹投げ入れたり校長のカツラに接着剤付けたりした仲だ。
　そんなアイツも今では埼玉の某有名大学に通学中ときた。世も末だな。
　でも俺たち、馬鹿ばっかりやってたけど頭は良いって有名だったよなあ。先生たちからクソガキコンビって口を揃えて言われてたわ。懐かしい。

　思い出に浸っていると「ボケッとすんな」と頭を叩かれた。地味に痛ぇ。


「んで、どうすんだよお前。
　明日も大学あるんだろ？ はよ帰れや留年すっぞ」


「いや、進級は諦めろって言われたし大学も諦めろって言われた。
　事が収まるまで大人しく隠れとけって」


「はあ？ なんだその話。マジ意味わからん」


「ホント、意味わからんよな。そしてそれを真に受けてここまで来てしまった俺も意味わからん」


「それは言えてる」


　真面目な顔で言わんといてください。俺も今反省してるんです。
　柴田は「もうこんな時間だし、今日は泊めてやんよ」と溜息を吐きながらキッチンへ紅茶を作りに行った。
　アイツの作る紅茶、うめーんだよなあ。


「そういやお前さ」


「ん？」


「ちゃんと警察に連絡した？ 不法侵入されたんだし流石に連絡したよな？」


　「あ」と思わず声を漏らすと「馬鹿」と返ってくる。
　いやあ、相手が逃げろ逃げろ慌てるもんで、ついつい通報を忘れてしまっていた。うっかりうっかり。昔っからこういうところがあるんだよな俺。


「特徴とか覚えてる？ 今からでもいいから通報しとかねーと」


「ほいほい、名前も聞いてるから大丈夫。結構珍しい名前だったしすぐに捕まるでしょ」


「へえ、どんなの」





「夏油傑」




　
　キッチンからパリンというカップが割れる音が聞こえた。
　「大丈夫か？」と駆け寄るも、それよりも先に柴田が「お前それどういうことだ！？」と目を見開きながら叫んだ。
　割れたカップも放置して柴田は俺の胸倉を掴んで「特徴教えろ早く！ 早く！！」とゆさゆさ俺を揺さぶりながら急かしてくる。
　やめろてお前、どした急に。


「えーっと、前髪が特徴的で袈裟姿のまさに不審者みたいなやつ」

そんな大事だった？→←とりま埼玉。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す