包帯男。 ページ13
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遠くの方に誰かがいる、それも高速道路の真ん中で。
ついさっきまで談笑していた俺たちも、その人影に気づいて思わず口を閉ざす。
この時間帯に、なんであんなところで?
嫌な予感がし、柴田に顔を向ければ「一応屈んで隠れとけ」と頭を抑えられる。
その指示に従い、シートベルトを外して助手席の足元へと身体をできる限り縮めて隠れる。
車内は一転して緊迫感に包まれていた。
車のスピードは段々と落ちていき、やがてピタリと止まる。
そして柴田は窓だけを開けて顔を出した。
「おにーさんそんなとこで何やってんの」
返事はない。
柴田にコッソリ状況を聞くと、何やら包帯を目に巻いた男が立ち往生しているというのだ。
なんだその不審者、怖すぎなんだが。
すると、助手席の扉から突然ガチャガチャ誰かが無理やり開けようとする音が聞こえ始める。おそらく包帯男の仕業なのだろう。
柴田は身の危険を感じてか車を発進させようとするが、「全然車が動かん……!」と顔を真っ青にさせている。
怪奇現象やん、ホラーやん。新潟怖すぎやろ。
「ねえ、いるんでしょ」
外からそんな声が聞こえてきた。
いや怖い怖い怖い怖い! なに、マジでなんなの怖いって!!
「開けてよ」
心臓がドクドクする。目が恐怖のあまりチカチカして、身体が震える。
けれども扉はガチャガチャガチャガチャとずっと音を立てている。
「お前、窓だよな」
ふと、扉を開けようとする音が止む。話題はどうやら柴田に移ったようだ。
窓……その用語を知っているということはつまり外にいる人間は呪術界の関係者と考えて良さそうだ。ということはやっぱり俺を狙って……。
「……柴田、もういいよ。お前をこれ以上巻き込めねぇ」
気づいた時にはそう呟いていた。
すると柴田は目を見開きながら「馬鹿! 諦めんな!」と口にするも「いいや、今が諦め時なのかもしれん」と返す。
俺は身体を起き上がらせ、外にいる人物へと目を向ける。
白髪の、包帯をしたいかにも不審者みたいな男が窓からこちらを覗き込んでいた。扉に手をかけようとするが「待て!! 危険だ!!!!!」と肩を掴まれる。
そんな親友の手に自分の手を重ね「大丈夫だって」と笑う。高校時代、二人で悪巧みしている時の掛け合いを思い出した。
「なんとかなるだろ」
こういう時の口癖は決まってこれだった。
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ガシヤマ(プロフ) - セネリオさん» コメントありがとうございます! 最近ギャグセンスを極められるようお笑いいっぱい見てます、面白いって言ってもらえて嬉しいです! (3月28日 15時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - 文脈おもろすぎてウケる。オリ主同士でここまで面白くなるの,って驚きました。とにかく良き…! (3月28日 9時) (レス) @page8 id: 989a98e326 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ(プロフ) - サンドレラ2世さん» コメントありがとうございます! 男の友情は美味しいですよね、こういう友達いたらいいな〜って思いながらなんやかんやで生まれたのが柴田君です。最初はもっとモブみたいな感じにしようかと思ったんですけど結構主要キャラみたいになっちゃいました。 (3月11日 21時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
サンドレラ2世 - 友情系大好きです。読んでてめっちゃ興奮しました。生まれてきてくれて有難うございます。 (3月11日 21時) (レス) id: 0ee11eb3e3 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ(プロフ) - 春の川さん» コメントありがとうございます! オリ主同士の絡みってあんまり需要無いかな〜って思って結構省いちゃいました。今思うとものすごく後悔しています、はあ。 (2月12日 15時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ガシヤマ x他1人 | 作成日時:2024年1月21日 23時