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その日、会場のとあるエリアで騒めきが生じていた。
「嘘……！？ あの子が銀賞って……！」
「金賞以外初めて取ったんじゃないか？」
「ヒエ、やっべー。もうレベチだろ」
金賞、その文字の上には私の作品。ヤツの作品じゃない、私の作品があった。
私は心の中でガッツポーズをしながら鼻を鳴らした。
ホークスは「すごいじゃないですか、とうとう成し遂げちゃいましたね」と赤い翼をピクピク動かした。
そうさ、私は成し遂げたのだ。天才と謳われるヤツの上を行ったのだ！
やっと、金賞が取れた……！ ずっと焦がれていた、金賞！
ニヤニヤしながら今回一番に輝いた最高傑作を見やる。うん、 何度見返しても文句の一つも無い素晴らしい出来だ。
ああ、一体全体ヤツはどんな顔をしてこの結果を見ているのだろうか。
泣いているのだろうか、悔しがっているのだろうか、怒っているのだろうか、嘆いているのだろうか、それとも――
「ありゃー、負けちゃいましたぁ」
すぐ隣からそんな声が聞こえてきた。
そこには私と同じ年頃の女が一人、金賞の作品を前にポリポリ頭をかきながら苦笑いしていた。のんびりとした声はぬるま湯を彷彿とさせた。
いや、待て。今それはどうでもいい。
それよりもさっきこの女……負けたって。まさか。
「君、もしかしていつも金賞取ってる……！」
すると女はゆっくりとこちらに顔を向け、「あ、どうもぉ」と笑った。
お、おいおい嘘だろ。この女が長年私を負かしてきた天才野郎だって……！？ こんな腑抜けた調子の奴が今まで私の上に立っていただなんて、信じられない。
驚きのあまり硬直していると、ホークスが「もしかしてこの人が金賞常連の？」とひょっこり現れる。それに気づいた女は「わあ、ホークスさんだぁ」とパチパチ拍手。何故拍手……？
……ダメだ、この女といるとどうもペースが乱される。
というか、何故こんなに平気な顔をしていられるんだ？ 長年守り続けてきた金賞の座を奪われたんだぞ？ 少しは悔しがるなりなんなりしないのか？
「……悔しく、ないのか？」
ジリ、と距離を取りながら聞いてみた。そしたら女は「うーん、悔しいか悔しくないかで言ったら、悔しくはないかなぁ」と言ってのけるもんだから更に驚いた。強がっているというわけでもなく、本当に悔しくもなんともないといった感じだった。
……はあ？
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ガシヤマ(プロフ) - サンドレラ2世さん» コメントありがとうございます！ 夢主ちゃんの心情表現は丁寧に細かく書くことを心がけました。読んでいただきありがとうございます。 (3月13日 20時) (
レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
サンドレラ2世 - 読んでて凄くドキドキしました。夢主の心情が鮮やかに描かれていてよかったです (3月13日 8時) (レス) @page31 id: 0ee11eb3e3 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ(プロフ) - ひとやさん» コメントありがとうございます！ 夢主ちゃんには幸せになってもらいたいところですが……ホークスと相思相愛ってわけではないんですよねぇ。でも、私はこういうの大好きです。 (3月13日 3時) (レス) @page30 id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
ひとや(プロフ) - 最後、タイトルをひっくり返したような文章で終わってあるのが本当天才かと思いました……夢主ちゃんのようなキャラも個人的に新鮮で、先の展開に加え、それに対して夢主ちゃんがどうなるのかまでとても気になりました！素敵な作品をありがとうございます！ (3月13日 3時) (レス) id: 47f18479c2 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ(プロフ) - サンドレラ2世さん» コメントありがとうございます！ 心温かいコメントのおかげで執筆活動が捗ります、本当にありがとうございます！ 皆さんから愛される小説を書けるよう精進します。 (3月11日 22時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ガシヤマ x他1人 | 作成日時：2024年3月1日 23時
