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小学生の頃、描いた絵を物は試しでコンクールに出してみたら金賞が取れた。
その喜びが忘れられず、そこから夢中になって筆を滑らせ、コンクールに出展した。結果は全て金賞。
私には絵を描く才能があった。
周囲の大人たちは私をこれでもかという程褒めちぎり、第二のピカソだのゴッホだの言い始める人もいた。
当時は魔法にでもかけられているみたいにスイスイ筆が進んで、頭の中は常に絵のことでいっぱい。次は何を描こうかと考える時間が楽しくて仕方がなかった。
だが、そんな私の人生にソイツは突如として現れたのだ。
とあるコンクールで銀賞を取った。初めて金賞以外のものを取った。
悔しさよりも驚きの方が強かった。まさか私以上の絵を描ける人間が存在したのか、と。
初めて私を負かしたその絵が気になり、興味本位で金賞の作品を見に行った。一体どんなに綺麗な絵なのだろう、と内心ワクワクしていた。
しかし、そこにあったのはそんな甘いものではなかった。
――愕然。
そこには言葉に言い表せないような世界があった。美しいとか、綺麗とか、そういうものではない。
ダイナミックで、インパクトがあって、他の作品たちとは明らかに違う異色さ。気味が悪い、だが目を惹かれる。他とは比べ物にならないぐらいの独創性が滲み出ている。井の中の蛙とはまさにこのこと。
本物の才能、というものをまざまざと見せつけられた気分だった。
そこからだ、私にとっての絵画が変わったのは。
楽しむためではない、私を負かしたソイツの上に立つために筆を動かすようになった。
だが、依然ソイツの出るコンクールで私が金賞を手にすることはできない。銀賞を取る度に地団駄を踏んだ。
何故勝てない、何故越えられない。
大学生になった今でもヤツは私の上に立ち続けている。相変わらずの天才的な画力で人々の心を惹きつけている。
今日も金賞として展示されたヤツの作品を見て奥歯を噛みしめる。やはり非の打ちどころがない完璧なまでの仕上がりだ。これで０勝４８敗、一度くらい勝たせてくれよ天才が！
「えー、また銀賞ですか？ 採点者は見る目がないですねぇ。
こんなに綺麗なのに」
悔しがっている私の隣から、そんな間延びした声が聞こえてきた。
そこには赤い翼を背中から生やした男が一人。
男は私の方を見て朗らかに笑った。
「俺、好きですよ。貴方の絵」
……なんだ、コイツ。
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ガシヤマ(プロフ) - サンドレラ2世さん» コメントありがとうございます！ 夢主ちゃんの心情表現は丁寧に細かく書くことを心がけました。読んでいただきありがとうございます。 (3月13日 20時) (
レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
サンドレラ2世 - 読んでて凄くドキドキしました。夢主の心情が鮮やかに描かれていてよかったです (3月13日 8時) (レス) @page31 id: 0ee11eb3e3 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ(プロフ) - ひとやさん» コメントありがとうございます！ 夢主ちゃんには幸せになってもらいたいところですが……ホークスと相思相愛ってわけではないんですよねぇ。でも、私はこういうの大好きです。 (3月13日 3時) (レス) @page30 id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
ひとや(プロフ) - 最後、タイトルをひっくり返したような文章で終わってあるのが本当天才かと思いました……夢主ちゃんのようなキャラも個人的に新鮮で、先の展開に加え、それに対して夢主ちゃんがどうなるのかまでとても気になりました！素敵な作品をありがとうございます！ (3月13日 3時) (レス) id: 47f18479c2 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ(プロフ) - サンドレラ2世さん» コメントありがとうございます！ 心温かいコメントのおかげで執筆活動が捗ります、本当にありがとうございます！ 皆さんから愛される小説を書けるよう精進します。 (3月11日 22時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ガシヤマ x他1人 | 作成日時：2024年3月1日 23時
