coffee time 【YG】 (ページ10)

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カランとドアベルが鳴って、振り向く。

『いらっしゃ……え。』

「やっほー。」

やっほー、じゃねーよ。

『わざわざご来店ありがとうございます。ヒョンソン。』

「やー、冷たいなぁ。」

何で来たのよ、ヒョンソン。

客として席に案内しする。

『注文は？』

「なあ、メッセージ読んでくれただろ？何で無視すんの。」

『仕事中ですので、プライベートな質問はお控えください。』

きっぱりと断ると、分かったよ、といつもより低い声で言われる。

なんとなく恐怖心を抱くと、「ブラックコーヒーで」といつもと変わらない様子でオーダーする。

伝票に書き込み、そそくさとその場をあとにする。

お客様がほとんどいない中、コーヒーを淹れながら考える。

ホントに何しに来たの？

メッセージを読まなかったことを、そんなにも怒っているの？

…でも今に始まったことじゃないし……。

『ご注文は以上ですね。失礼します。』

「待てって。」

コーヒーをアイツの机に置いて、立ち去ろうとすれば、手首をつかまれる。

優しいピアノの旋律の中、ヒョンソンの声が響く。

『…何。』

首だけ振り向いてそう問いかければ、そいつはヘラっと笑う。

「…思わず掴んじゃった。」

『はぁ？』

「今日はお客さんだし、静かにしておくよ。」

そう言われて、温かい手が離れる。

……何しに来たの。

…何がしたいの。