coffee time 【YG】 (ページ6)

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『送っていただいて、ありがとうございました。今日は楽しかったです。』

「いえ、こちらこそ。」

自分のカフェの前で降ろしてもらう。

『ヒョンソンさん。』

「はい、何でしょう？」

『今日、本当にお見合い目的でいらっしゃんたんですか？』

今日ずっと不思議に思っていたことを投げかける。

だっておかしいもの。

４０近くで独身なら、結婚に対してもっと焦っているはず。

なのに、彼は自分を語るわけではなく、ずっと世間話をしていた。

ヒョンソンさんは、驚いた顔をした後、穏やかに続ける。

「お見合い、というのは口実です。僕はこのカフェが大好きだから、一度Aさんとお話してみたかったんです。」

『なら、店内で直接話しかけていただければ…』

そういうと、静かに首をふる。

「それでは、お仕事の邪魔をしてしまいます。それに、Aさん最近疲れているようなので仕事から一度、離れさせてあげたかったんです。」

たしかにそう。ここは私がほぼ一人で経営しているから、毎日出勤しなければならない。

疲れも出てくるだろう。

それをこの人は汲み取ってくれたのか…。

感動もんだわ、これは。

「時間をお借りしてしまい、申し訳ありません。またコーヒー飲みにきますね。」

『ぜひ、お待ちしております。』

晴れた心で、車が見えなくなるまで頭を下げた。