coffee time 【YG】 (ページ40)

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あーあ。
今ので本当に冷めた。
コイツ無いわ。

「お前はいつもいつも…。」

『ねえヒョンソン。』

ヒョンソンの言葉を上から押しつぶす。

『これ、なんの食器か覚えてない？』

「…は？」

ヒョンソンのせいで粉々になってしまったコーヒーカップの破片をなぞる。

…かわいそうに。素敵な柄だったのに。

『さっき、ヒョンソン言ったよね？思い出作っていこうって。』

「…ああ。」

『あんたが今、壊したよ。』

「…どういうことだよ。」

『これ。』

怪訝な顔をするヒョンソンに、ずいっと破片を近づける。

『二人でイタリアに旅行した時に買ったやつ。あんたの家にもあるはずよ。』

「…あっ…。」

イタリアに旅行に行った時、この食器の柄に一目ぼれした。

もともと私は食器が好きで、今の店も食器にこだわっている。

それを知っていたヒョンソンは、私が一目惚れしたこの食器をサプライズで買ってくれたのだ。

値段も高かったし、お揃いで買ってくれたことがすごく嬉しかったのに。

ヒョンソンが来るときは、いつも思い出に関わるものを出していたのに。

『復縁したがってたけど、始まる前に終わっちゃったね。』

なんだかおかしくて笑っちゃう。
こんな惨めな復縁ってある？

「これは分からなかったっていうか…。」

『私、ものを大切にしない人は嫌いなの。お金だけおいて、帰ってくれる？もう来ないでね。』

今度こそ、元カレに背中を向けた。