coffee time 【YG】 (ページ37)

今日:9 hit、昨日:1 hit、合計:163,516 hit

３７ページ37

「ごちそうさまでした～」

『ありがとうございました～』

満足そうなお客様の背中を見送り、一息ついた。

厨房に戻ってから、あくびをしながら大きく伸びをする。

うーん、お昼時のピークは越したかな。

食材や茶葉などを確認していると、ガチャンとドアベルが鳴る。

もう、乱暴なお客さんだな。

もう少し丁寧に扉を開けてよ。

エプロンで手を拭きながらお出迎えしにいく。

『いらっしゃ……』

「…よぉ…。」

思わず息を飲む。

『ヒョンソン…。』

ヒョンソンは気まずそうに視線をずらす。

前に家の前で暴れられた以来、顔を合わせるのは初めてだ。

私たちの間に異様な緊張の糸が張る。

近くにいたくなくて、一歩下がる。

『お客様、お席はお好きなところにお座りください。注文はコーヒーでよろしいですね。後程お持ちします。』

あえていつも通りの台詞を言って、案内もせずくるりと背を向ける。

また暴れられたらどうしよう。

今度は何か割るかもしれない。

他のお客様に迷惑が掛かってしまうかもしれない。

…どうしよう。

コーヒーを淹れ、ヒョンソンのところへ向かう。

『どうぞ。』

「なあ、今日最後まで残っていいか？」

『ダメ。』

「そんな即答…」

ヒョンソンは困ったように眉を寄せてこちらを見上げる。

捨てられた犬みたい…。

相変わらず可愛いなこの野郎。