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私の家の前に静かにタクシーが止まる。
先ほどから、遠くを見ているような目をしている恭平は、早く降りろとは急かさなかった。
だから、私は最後だと思って、思い切って彼の手を掴む。
「ちょ、」
「運転手さんすみませんっ、数分で戻りますんで」
そう言って、抵抗しない彼とともにアスファルトに降り立つと、深夜の住宅街は驚くほどに静かだった。
マルの寝床は、調子が悪くなった春先に室内に移した。
リビングの端、私が部屋に入ると、目は見えないはずなのにマルはこっちを見ていた。
「ごめんねぇ、起こしちゃった。」
後ろで先ほどから気配を消している恭平。
覚悟はしていたんだろう、変わり果てたマルの姿を見てもさほど動揺はしていないようだった。
マルが身体を起こした。
「よかったねぇマル。
恭平、来てくれたよ。」
スっと床に座った彼は、そのスーツに毛がつくのも構わず、優しくその腕に迎え入れた。
マルが嬉しそうな顔をした。
ただ目を細めただけだけど、私にはそんなふうに見えた。
＊＊＊
新年が開け、しばらく経った。
2月は自由登校であるため、次に顔を見合わすのは卒業式前日。
お互い進路が決まっている私たちはそんな状態だった。
「看護学校、って忙しいん？」
「うーん…忙しいの基準がわからないんだけど、普通の大学生よりは忙しいと思う。
だって、3年で卒業しなきゃだし、その間に国家試験も合格しなきゃだもん。」
「やっぱりすごいなぁ、西野さんって。」
「…そんなことないよ、高橋くんだって」
「俺だって？」
「…高校行きながら、働いて。
同い年なのに、もう自立してて、それ見てると私も焦るよ。」
「そんなもんか？普通やと思うけどなぁ。
俺が普通やないだけ。」
彼の声が、変わった気がした。
私は次の一言を待った。
「もう、マルとも会えへんくなるんやなぁ。」
その一言がひどく私にのしかかった。
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コロ - ヤバイです。素敵な作品でみいってしまうというか、、、すごく感動しました！こんな神作始めてです！ (2020年5月15日 21時) (
レス) id: b14fc19f6c (このIDを非表示/違反報告)
那都(プロフ) - とても面白かったです！大晴くん推しなので、くっついてくれて嬉しかったです！1つ気になるのですが、あのオーナーは誰を想定していたんですか？私の中では室くんだったんですが、、教えて頂けたら嬉しいです！ (2019年11月25日 22時) (レス) id: c96a99fffa (このIDを非表示/違反報告)
はらへり - わぁぁぁ！気になります気になります！前回の作品に続いて応援しています！楽しみにしています(^ ^) (2019年6月12日 18時) (レス) id: aacee0baab (このIDを非表示/違反報告)
純鈴(プロフ) - 凄い面白いです！これからの展開にドキドキしてます。更新頑張ってください。待ってます！！ (2019年5月28日 23時) (レス) id: f70ff81fc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆう
| 作成日時：2019年5月19日 20時
