さよなら愛した人、ここまでだ。 (ページ15)

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21:38 p.m. ページ15

『俺、もう少ししてからここを出るから、
Aは先に帰ってもいいよ。』

北斗の声はもう限界だとでも言うように震えていた。

泣きたいんだ。

私は財布を出してお金を置こうとした。

『いつも俺が出すからいいって言ってるじゃん。

最後なんだからカッコつけさせて？』

北斗の口から出た「最後」言葉に、
「ごめんね、全部嘘だよ。」ってその胸に飛び込みたくなる。

私はこくんと頷いた。

『本当に今までありがとう。

まだ過去形にはできないけど、愛してるよ、A。』

「私の我侭でごめんね。

大好きだったよ、北斗。

……ばいばい。」

そう言うと北斗の顔を見ないようにして個室を出た。

だって見ちゃったら絶対に戻りたくなる。

駅まで歩いて、ロッカーからトートバッグを出す。

上手く掴めずに地面へと落としたトートバッグからは、
勝手に北斗の部屋から持ってきたブランケットがはみ出していた。

トートバッグの中には戻さずに握り締めると急いで改札に向かった。