好き以上、愛してる未満。 (ページ5)

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『Aは俺の事好き？』

放課後の静かな教室に、雄登の声が響いた。

じっと顔を見つめられて、今朝もこんな事があ

ったなと考える。

今日はやけに、モテるだとかそういう話が多く

て。

好き、なんて決まってる。

5年も一緒にいるんだから。

自分でやれよ、と言いながら私が分からない問

題を教えてくれる優しい所とか。

雄登がたまにギャグをした時

つまんない、て言うとちょっと拗ねる可愛い所

とか。

今日の朝みたいに私を助けてくれるかっこいい

所とか。

私にとって雄登は、

友達を軽く超えて、大好きな親友だ。

「そんなの勿論、す...」

龍斗『姉さん、もう帰れる？』

「龍斗？......あ、ごめん、待たせちゃってた？」

龍斗『いや、大丈夫。......どうも』

雄登『...久しぶり、龍斗くん』

答えようとした時、姉さん、と声掛けられた。

教室のドアにはバッグを持った龍斗が立ってい

て、そういえば今日は一緒に帰れると言ってい

た。龍斗が雄登に会釈をすると、雄登も声を掛

ける。

「ちょっと待って、もうすぐ終わるから」

急いで学級日誌を書き、帰りの支度もする。

「よし、じゃあ先帰るね？雄登、また明日」

雄登『...ああ、また明日』

じゃあねと手を振ると、いつもは笑顔で手を振

り返してくれるのに振り返してくれない。

.....あれ、何か言う事があったような気が。

「ゆう...」

龍斗『ほら、行くよ』

「えっ、ちょっ......雄登バイバイ！」

龍斗にぐいっと手を引かれて、雄登に慌てて手

を振る。

今日は忙しい日、だな。

＿＿＿＿＿

「『ただいま〜』」

龍斗と一緒に帰宅して、玄関に入ると

見慣れた靴。

『よっ！』

「ゆとくん！」

優斗『ちょ、Aいい加減優斗って言えるようになれよ！』

「言えるけど...もう癖になっちゃって」

優斗『ま、可愛いからいいや』

そう言って私の頭を撫でたゆとくん...優斗く

んは私の家の前に住んでいる2歳年上の幼馴染

み。今は大学生で毎日、というわけではないけ

ど頻繁に家に遊びに来る。

優斗『2人とも一緒に帰ってくるってほんとお前ら仲良いな』

「ん〜まぁ、その辺の姉弟よりは仲が良いと思う。龍斗いい子だし」

龍斗『いい子って...子ども扱いやめて』

龍斗はそう言って私の頬を摘む。

「い、いひゃいです」

はは、と声を上げて笑う龍斗と、ゆとくん。

幸せが続けば、良かった。

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