好き以上、愛してる未満。 (ページ36)

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『A、お前一人でうちにいたの？』

涙がひいて、しばらくたった頃

向き合って椅子に座った私に
ゆとくんはそう言った。

「ううん、りゅう...」

そうだ、龍斗。

私は、龍斗にキスをされて、

女の人として好きだと言われて、

血の繋がっていない姉弟だと言われたんだ。

「...どう、しよう」

『ん？どした、』

ゆとくんはテーブルに肘をついて
目を丸くして聞いてくる。

「あのね、...―――」

私は、全てを話した。

ゆとくんのお家に行くまでの事を。

『......俺のせいか、』

話し終わると、
ゆとくんは横を向いて小さく呟いた。

「え、そんなっ...。ゆとくんは悪くないよ、二人で出かけるのなんておかしくないし、...キスだって"おまじない"なんでしょ？...龍斗がちょっとおかしくなっただけだよ、」

そう言うと、

私はゆとくんを励まそうとしたのに

何故か悲しげな表情をしていた。

『なぁA、恋愛っていうのはとっても苦しいもんなの。......素直に気持ちを伝えられずに終わるやつもいるし、龍斗みたいにしっかりと伝えてくれる人もいるし、』

『それに龍斗は、お前を血は繋がってなくても姉っていう関係だと分かってて"好き"だって言ったって事でしょ？...めちゃくちゃ勇気、っていうか覚悟がないと出来ない事じゃん』

なんか、すげぇよな。

ゆとくんは、空に向かって呟いた。

その横顔は切なくて、

苦しかった。

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いつか、龍斗に好きな人はいないのかと
聞いた事があった。

＿＿

『頭が良いのに、抜けてる所があって
すごく可愛い子』

＿＿＿＿

あれは私だった。

間接的にあなたが好きだと、

切なそうに笑って、伝えてくれたんだ。

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龍斗はずっと苦しい想いをしていた。

もし、私がきょうだいをすきになっていたら？

私なら、

...ただの憧れだったと言い聞かせて
忘れようとするだろう。

でも、龍斗は伝えてくれた。

伝えようとしてくれた。

『A、』

テーブルへ向けていた視線を
声のする方へ向けた。

ゆとくんは私をじっと見つめた。

想いの詰まった目で私を見つめた。

『ちゃんと返事、してあげないとな』

目を細めて、きゅっと笑って
私の大好きな笑顔を見せた。

「...うんっ、」

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