好き以上、愛してる未満。 (ページ33)

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「えっ、あ...あの、キスっていうか...」

『いい。聞きたくない』

そう言った龍斗の顔は悲しみで一杯で。

何でそんな顔してるの、
ほっぺにされただけなんだよ、って言おうとしたのに、制されてしまった。

「そっか、」

私は一言だけ答えて、
何だか嫌な雰囲気になってしまったと
俯くと、

『ずっと、我慢してきたのに』

そんな声が聞こえて、また顔を上げた。

「りゅ、龍斗...？」

窓の外を見上げている龍斗の顔を
覗き込もうとした時、

勢いよく振り向いて、私の顔に近づいてきた。

『......姉さんが悪いんだからね』

唇が、確かにそう、動いた。

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「......っ、ん...、！？」

私の唇に柔らかいものが触れた。

それは、間違いなく、目の前の龍斗の唇。

『...好き』

「っ、...りゅ、っ」

一瞬体を離したと思ったら、
また近づけて、
さっきよりも乱暴に、唇を押し付けてきた。

何がおきているのか分からず、
ひたすら龍斗の胸を叩くと、やっと離れた。

その瞬間に龍斗の頬を叩く。

龍斗は、いた、と声を漏らすと

そこを手でおさえながら私を見た。

「な、に、するの...？私達、姉弟でしょ...？」

私はそんな龍斗を睨みつけた。

『...姉弟？何言ってるの...？』

ふは、とまた笑った。

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おかしい。こんなの、夢だ。
だって、龍斗は優しくて、何でも出来る、
私の自慢の、

自慢の、

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『......俺達、血繋がってないのに』

言葉を失った。

世界が一瞬にして、真っ黒になった気がした。

龍斗と、血が繋がってない。

そんなの嘘だ。

だって、私、聞いてない。

『俺は、姉さんの弟なんかじゃない。
...俺は、ずっと姉さんのこ...』

「やめて...！！」

私は、龍斗の言葉を遮って、大きな声で叫んだ。

そのまま走って玄関を出て、
向かいの、ゆとくんの家のインターホンを荒々しく押した。
何度も、何度も。

後ろの自分の家の方を振り返ると、
龍斗は追ってきてはない。

『...Aっ！？』

ガチャリと玄関の開く音。

インターホンに出るよりもすぐに、私の前に来てくれた。

「ゆ、ゆとっ...くん、あの、...あのね」

『...無理に言わなくて良いから。とりあえず中入って』

ゆとくんは私の背中をぽんぽんとリズムよく叩きながら、お家の中にいれてくれた。

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