好き以上、愛してる未満。 (ページ27)

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「...っ、ゆ、ゆとくん！？今何してっ」

『何って...、ほっぺにキス？』

「ど、どうしてそんな...！」

ふにゃん、と笑って、

当たり前だろ、とでも言いたげな表情を浮かべる。

ゆとくんが頬にキスをしたと気づいたのは

数秒経った頃で。

突然の事で頭の中が混乱中。

『どうして、って言われてもなぁ』

そう言って、チラリと外を眺めると

またすぐに私に視線を戻した。

『それは、俺がAの事、す.........』

「す？」

『...えっーと、おまじない？』

「おまじない？」

『そうそう！』

頬にキスをするおまじないなんて、
聞いたことがない。

私が首を傾げると、

『Aがずっと幸せでいられますように、って』

「？...そっか。ありがとう、ゆとくん」

『どうしたしまして、...って言うのも違うか』

ふは、と息を零して笑うゆとくんは

笑っているのに、笑っていなかったような気がした。

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『あ〜、もう着いちゃうな』

「ほんとだ」

観覧車の外を見れば、キラキラと光るアトラク
ションが大きく、近くに見える。

ガシャンと扉が開いて、従業員のありがとうございました〜という声が聞こえた。

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「楽しかった〜」

『な、』

遊園地を出て、朝ゆとくんと来た道を戻る。

『ねぇA』

「何？」

『なんかあったら、すぐ俺んとこ来いよ？』

「え、？...う、うん、分かった」

『ん、いい子』

ゆとくんの白く、長い、男らしい腕が伸びて

私の頭の上に手が乗せられた。

ぽん、と一つバウンドさせた後

サラリと髪のながれにそって撫でられた。

そのまま私の頬にそえられた手が、少し震えている気がした。

「...ゆ、ゆとくん？」

『俺が、Aを守るから』

真剣な表情、大きな瞳はやっぱり、私に顔を逸らすことを許さない。

瞳の奥が悲しい色をしていた気がした。

口をぎゅっと結んで、ずっと見つめられたら

何故だか、泣きたくなった。

ゆとくんが泣きだしそうな気がした。

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『今日はほんっとに、ありがとな！楽しかった、本当に！』

いつの間にか着いたいた家の前。

私の大好きな笑顔を浮かべるゆとくんはそういった。

「私も楽しかった！ゆとくん、ありがとうね！」

『おう！じゃあ、ゆっくり休んで！...おやすみ』

「おやすみなさい」

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