[AU、アンテ]愛に溺れて窒息死

……ドリーム ページ31

神は人を平等に愛し

また救ってくれるという


穢れた世界を唯一照らす

主。



この教会の神父であるドリーム様は神の声や
人々の懺悔をきく

彼は優しく、またいつも笑顔を浮かべている
まるでそこだけ別の場所なんじゃないか、と思うほどのオーラさえ感じる、と聞いたこともある

比べるなど失礼極まりないことだが
この穢れた世界で最も神に近いお方なのだと思っている



『…ドリーム様』

「どうされましたか、Aさん」

『…私は毎日主に祈りを捧げているのに
私の周りは不幸ばかりです

父も、母も、友人も
みんな、みんな…
私を置いて去るのです

私のせい、なのでしょうか。

いつか貴方様も居なくなってしまうのではないかと不安になります

本当に、神は＿＿＿＿』


「Aさん。」


彼は私の言葉を遮る

怒らせてしまったのか、と怖くなり
目を合わせぬように地面を見つめた


「顔を、あげてください」


しかし彼は
いつものように慈愛に満ちた笑顔を浮かべていた



「いいえ、主は決して貴方を見捨てては居ません
貴方のせい？とんでもない
少し不幸が重なってしまっているだけです」

『…しかし』

「不安、ですか？
大丈夫です、私がいるでしょう？

…祈りを捧げ続けなさい。
さすればきっと、いつか神は貴方に加護を授けるでしょう
幸せにしてくれるはずです」


嗚呼、なんて素敵な方だろうか


周りの大切な人がいなくなって苦しかったのに

今ではこのふわふわとした思考が私を支配していて
ただただ心地よかった

本当にそこだけ別の場所のようだ


力が抜け、その場に座り込んでしまう


けど、この心地よさにまだ酔っていたい
身を委ねてたい



いつのまにか私は意識を手放していた







ふわふわ


ふわふわと。

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