episode.8 ページ10
阿部side.
各々が自由に過ごす楽屋の片隅に腰掛けて、イヤホンをつける。流れてくる音楽に身を委ね本を開くも内容が入ってくる訳もなく。
(聴けば聴くほどハマるな…。)
彼女の歌声に惹かれたあの撮影以来ずっとこんな感じ。
神崎さんの曲を聴く度にギュッと心臓を掴まれたような感覚。しっとりしたバラードもテンポの良い曲も、全てが彼女の為に作られた気がして独特な雰囲気を感じさせるから不思議だ。
(連絡先、聞いとけばよかった。)
こんなに彼女に惹かれるとは思ってなかったし、あの後佐久間が大暴走して困っていたのを止めるのにみんな必死で気づいた時には帰路についていた。
(いつか彼女の作った曲を俺も歌いたい、とか夢見すぎだよなぁ。)
そもそも共演する機会すらないだろう彼女との貴重な1回もこんな形で終わってしまった。
「はぁ……。」
佐「お、阿部ちゃんため息ですか！？幸せ逃げるぞー？」
にゃはは、とどこからともなく現れた佐久間にマズい、と思ってスマホを取ろうとするも時すでに遅く。
佐「最近の阿部ちゃんのため息の元凶はこれか！！」
なんてスマホの画面を眺めた佐久間の驚いた顔。
…1番見られたくないやつに見られた感ハンパないな。
佐「あ、あ…あの阿部ちゃんが、俺の想いが通じてアニメに目覚めたのかっ？嬉ピーマンであります！！」
「まてまてまて、なんでそうなった。」
佐「とうとう俺はアニオタになってしまった…どうしよう、でも佐久間には今更言えないよなぁ、はぁ……ってため息ついてたわけだ！！」
「語弊がありすぎてどこからつっこんでいいのか分かんねぇんだけど…。」
佐久間のひとり芝居と終わりの見えない問答に頭を抱える。あれこれ騒ぐせいでメンバーもゾロゾロと集まってきて…目を輝かせるラウールとか絶対めんどくさくなるからこっち見ないでほしい。
岩「そういえば阿部ちゃんこの前、佐久間のサプライズやってから神崎さんの曲ばっか聴いてるよね。」
なんて照のひと言が引き金で。
佐「マジか！うわなんだよ阿部ちゃんも神崎さんの歌にハマっちゃったならもっと早く言えよな！！この佐久間さんがおすすめの曲いっぱい教えたのに。」
「あー…うん、ハマったというか…」
ほぼ一目惚れ。
なんて言える勇気俺にはなくて。
ほんのりと熱くなる頬を隠すように前髪を直すフリをして下を向いた。
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ぴの(プロフ) - 更新楽しみにしています。 (9月21日 22時) (
レス) id: a8ffbe2352 (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - ぴのさん» ぴのさん、コメントありがとうございます…！ゆっくり、ゆっくりと阿部ちゃんと近づけたく思ってますので温かく見守って頂けますと幸いです。 (9月21日 22時) (レス) @page15 id: 0984604825 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - めちゃくちゃ、続ききになってます。 あべちゃんとヒロインの今後の関わりがたのしみです。 (9月21日 20時) (レス) @page14 id: a8ffbe2352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼 | 作成日時：2023年9月18日 22時
