episode.36 ページ41
貴女side.
ピンポーン、と軽快な音が鳴り響き重たい瞼を開くと真っ暗な視界と肌寒さが支配して思わず身震いをした。
(あれ……今何時…。)
未だに覚醒しない頭でスマホに手を伸ばすと大量の通知にギョッとしてロックを解除してメッセージを追う。
【少し早く着いたんだけど、外で待ってるからね。】
【なんかあった感じかな？】
【連絡まってます。】
【俺なんかした？】
など段々短くなっていくメッセージたちに慌てて時計を確認するともう約束の時間をとうに2周を回っているのに顔を青くした。
【迷惑かもだけど心配だから今からアパート行くね。】
という最後のメッセージは15分ほど前のものだと気づけばもう一度インターホンが鳴る音と控えめなノックオン。
阿「Aいる？大丈夫？何かあった？」
扉越しに聞こえる声にもつれる足を必死に動かしてドアを開けると、驚いた顔の亮平くんと目が合ったがすぐに視界に広がる暗闇といつも香る優しい匂いに包まれてそれ以上の言葉は遮られた。
阿「メッセージ送っても全然既読つかないし。もうすごく心配したんだからね。」
「あの…。」
阿「よかった、本当に何もなくて。事故に巻き込まれたのかなとか…嫌われちゃったかなとか色々考えてたからさ。」
背中に回された手が一定のリズムを奏で、それはまるで彼自身が安心したとでも言ってるみたいだけれど段々と覚醒していく頭がこの状況を理解してきて思考を巡らせる。
(待って待って、約束すっぽかしたうえに寝起きで髪ボサボサだし寝不足すぎて隈がひどいだろうからとてもじゃないけど見せられないって！)
そんな気持ちも虚しく、少し緩んだ腕に距離を取ってみるも頬に触れた右手にぐっと距離が縮まって覗き込む彼の瞳が心配そうに揺れる。
阿「少し痩せた…？顔色も悪いし、もしかして体調悪いのに無理させてたかな。…ごめん、なんにも気づいてなくて。軽率に誘うんじゃなかった。」
「決して亮平くんが悪い訳ではないと言うか、ついつい亮平くんと曲作るの楽しくなっちゃって勝手に寝不足になって…夢中になるとそれ以外が見えなくなるとか、ほんと悪い癖だよね。」
呆れたかなとかむしろ私が嫌われたんじゃないかとか色々な感情に支配される私の瞳をじっと見つめる彼がふわりと笑う。
阿「俺も、Aと仕事できるの今までで1番楽しい。」
愛おしいとでもいうかのようにさらりと頬を撫でる手がとても優しくてじわりと心に沁みた。
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ぴの(プロフ) - 更新楽しみにしています。 (9月21日 22時) (
レス) id: a8ffbe2352 (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - ぴのさん» ぴのさん、コメントありがとうございます…！ゆっくり、ゆっくりと阿部ちゃんと近づけたく思ってますので温かく見守って頂けますと幸いです。 (9月21日 22時) (レス) @page15 id: 0984604825 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - めちゃくちゃ、続ききになってます。 あべちゃんとヒロインの今後の関わりがたのしみです。 (9月21日 20時) (レス) @page14 id: a8ffbe2352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼 | 作成日時：2023年9月18日 22時
