episode.35 ページ40
貴女side.
「……できた。」
少しずつ、少しずつ2人で作り上げてきたユニット曲はいつしか今までになく最高の1曲になっていて。
早くそれを彼に伝えようにもどんどん忙しくなっていく亮平くんとはおはよう、おやすみくらいの連絡しかとりあえなくて最後に会ったのは果たして何週間前だっただろうか。
「というか、ねむ…。」
気づけば朝日が昇り始めていて、なんてここ最近当たり前で。何週間も睡眠を削ってこんなに没頭しているのも初めてで、こんなにも頭の中を占めているのも亮平くんが初めてだ。
「こんなに好きになったって、つき合えるわけでもないのに。バカみたい。」
こちらを見つめる阿部ちゃんに問いかけても当然返事はなく。にこにこ笑うそれはまるで私を嘲笑っているような気さえした。
ふらふらと立ち上がり、キッチンでコーヒーを淹れるも頭が覚醒せずに頭痛と共に強烈な睡魔に襲われる頭を抑えつつソファに腰掛ければ震えだすスマホ。
阿【おはよう。今日珍しく15時頃から時間空くからあの喫茶店で待ち合わせしない？
この前約束したでしょ？オムライスとデザート。】
(あんな些細な約束まで覚えててくれたんだ。)
この一文だけでさっきまでの負の感情はどこかに消え、緩む口元を隠しもせずににやにやと画面を見つめ返信を考える。そうこうしている間にもいい曲が浮かんでくるんだから亮平くんという存在はやはり偉大だ。
【約束、覚えててくれたんですね。】
阿【当たり前でしょ。Aとの大切な約束だからね。】
ドヤ顔のキャラクターのスタンプがまた彼らしくて笑みが溢れる。恐らく本人もこんな表情してるのかも、とか考え出したらもう私の頭は彼に染まっていく。
どうしようもないくらい彼のことが好きなのを隠し通すのに精一杯な私はどう映っているのだろうか。
そんな気持ちを押し殺して文字を打ち込んでいく。
【では15時に私も向かいますね。
私も亮平くんに伝えたい事があるので。】
メッセージの送信を確認し画面を伏せソファに寝転んだところで重くなる瞼は重力に逆らえずに閉じていく。
(亮平くんに会えるの楽しみだなぁ。曲喜んでくれるといいな。)
ゆっくりと堕ちていく意識の中で嬉しそうに笑う彼が見えた気がしてふと口元が緩んだ。
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ぴの(プロフ) - 更新楽しみにしています。 (9月21日 22時) (
レス) id: a8ffbe2352 (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - ぴのさん» ぴのさん、コメントありがとうございます…！ゆっくり、ゆっくりと阿部ちゃんと近づけたく思ってますので温かく見守って頂けますと幸いです。 (9月21日 22時) (レス) @page15 id: 0984604825 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - めちゃくちゃ、続ききになってます。 あべちゃんとヒロインの今後の関わりがたのしみです。 (9月21日 20時) (レス) @page14 id: a8ffbe2352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼 | 作成日時：2023年9月18日 22時
