episode.27 ページ32
貴女side.
佐「よし、じゃあ行きますか！！」
私とご飯に行きたいと言ってくれた佐久間さんが支度を終えて声をかけてくれる。私もそそくさと荷物をまとめて立ち上がった。
佐「……ちょっっっと待って、なんで阿部ちゃんいんの？」
阿「ん？」
佐「いやいや、だからなんでいんのよ。俺びっくりよ。」
阿「休憩中に佐久間がAとこそこそしてたから俺に隠れて何かしようとしてるのかなぁって思って。」
にこ、って笑った亮平くんの目が笑ってない気がするが恐らく気のせいだろう。むしろそう思いたい。
佐「阿部ちゃんたまに怖いのよ。てかエスパーか？こわ。」
阿「てことは俺に隠れてなにかしようとしてたんだ。」
自然と口走ったそれに慌てて佐久間さんが口を抑えるもすでに遅く。観念したのかことの経緯を亮平くんに話した。
阿「じゃあ俺も一緒にいく。いいでしょ？」
「私は構いませんけど…佐久間さんは…。」
佐「あーもうはいはい。こーなった阿部ちゃんは止められねぇわ。」
そう言った佐久間さんが先頭を歩き、その後ろを亮平くんと並んでついていく。佐久間さんが運転してくれるそうで、少し離れたところに停めてあるからと駐車場に駆けていく後ろ姿を見つめていると不意に亮平くんが口を開いた。
阿「ごめん、佐久間と行く予定だったのに急に割り込んで。」
「大丈夫です。正直な話、佐久間さんと2人きりだと何を話していいのか分からなかったので、亮平くんも来てくれて私は助かりました。佐久間さんには秘密、ですよ？」
阿「はーい。2人だけの秘密だね。」
「ふふ、なんだかそれは恋人みたい。」
思わず出た言葉にはっとして口をつぐむ。
ちらりと頭ひとつ分高い亮平くんの顔を盗み見るとばっちり目があってしまい気まずくなって逸らした。
すっかり冷たくなった外の空気が私と彼の間を通り抜ける。佐久間さんはまだ来ない。
会話が途切れてさほど時間は経ってない筈なのに沈黙が長く感じてしまう。ひとつ分空いた2人の間を亮平くんが一歩詰めた気配にぴくりと肩を揺らすと彼の手が一瞬私の手に触れた。
阿「じゃあ、佐久間が来るまで恋人みたいな事…してもいい？嫌だったら払っていいから。」
そして優しく私の手を包み込んだ亮平くんに驚いて彼を見上げるも表情は見えない。
阿「手、冷たいね。」
そう言って更にぎゅっと握られた手に恥ずかしくなってマフラーに顔を埋める。
佐久間さんが来るまであと少し、その少しがとても長く感じた。
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ぴの(プロフ) - 更新楽しみにしています。 (9月21日 22時) (
レス) id: a8ffbe2352 (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - ぴのさん» ぴのさん、コメントありがとうございます…！ゆっくり、ゆっくりと阿部ちゃんと近づけたく思ってますので温かく見守って頂けますと幸いです。 (9月21日 22時) (レス) @page15 id: 0984604825 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - めちゃくちゃ、続ききになってます。 あべちゃんとヒロインの今後の関わりがたのしみです。 (9月21日 20時) (レス) @page14 id: a8ffbe2352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼 | 作成日時：2023年9月18日 22時
