episode.20 ページ24
貴女side.
仕事が終わって自宅に帰りひとしきりやる事をしてからソファに座る。時計を眺めると8時を少し回った頃。
テレビでも…なんてリモコンに手を伸ばした時に震えるスマホ。このくらいの時間に電話してくるのなんてマネージャーだろうな、と画面を確認するも予想外の相手に思わず二度見。
"阿部さん"
その文字を何度確認しても答えは変わらず。
自宅で1人、動揺を隠せずわたわたと動揺する間にも鳴り続けるスマホに意を決して指を触れた。
「………もしもし？」
阿『あ…っと、こんばんは…。今大丈夫？』
大丈夫ですよ、と声をかけるとほっとしたような声が聞こえてなんだか妙に緊張してしまう。
そもそも阿部さんと電話で話すのなんて初めてだ。
「あの…なにかありましたか？」
阿『ううん、用があった訳じゃないんだ。
ただ誰かと話したかったっていうか…神崎さんの声聞きたくて。……なんて彼氏みたいなこと言っちゃった。ごめんね？』
困ったように笑う声が響く。
電話越しだといつもと違って色っぽく聞こえてしまい落ち着かない。話の内容もあんまり入って来なくて、なんて返したかも曖昧だ。
阿『今日ね、舘様とイタリアン食べに行ったの。ピザがめっちゃ美味しくてさ。個室だし神崎さんよかったら今度一緒に行かない？』
「え、いいんですか？ぜひ。」
阿『やった。』
そんな当たり障りのない会話の繰り返し。お互い話題なんて見つからず、いつしか話はそれて仕事の事に。
阿『この前発売した曲、あれレコーディングお邪魔した時のだよね。改めて聴いたけどすごいよかった。』
「聴いてくれたんですか？」
阿『当たり前じゃん。だって俺神崎さんのファンだよ？』
ファン、その言葉が嬉しいけれどなんだか物足りない。
複雑な気持ちが支配して言葉に詰まる。
(なに自惚れてるんだろう。仲良くしてくれてるからって別に阿部さんは私のことなんてなんとも思ってないのに。)
期待するな、と自分に言い聞かせて笑い返す。
「それを言うなら私だって、阿部さんのファンですよ？」
なんて返せば阿部さんには気づかれない。
阿『神崎さんにそう言ってもらえるの嬉しい。』
嬉しそうに笑う声の阿部さんがどんな表情をしているかなんて私には分からなくて曖昧な答えを返すことしかできなかった。
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ぴの(プロフ) - 更新楽しみにしています。 (9月21日 22時) (
レス) id: a8ffbe2352 (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - ぴのさん» ぴのさん、コメントありがとうございます…！ゆっくり、ゆっくりと阿部ちゃんと近づけたく思ってますので温かく見守って頂けますと幸いです。 (9月21日 22時) (レス) @page15 id: 0984604825 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - めちゃくちゃ、続ききになってます。 あべちゃんとヒロインの今後の関わりがたのしみです。 (9月21日 20時) (レス) @page14 id: a8ffbe2352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼 | 作成日時：2023年9月18日 22時
