episode.14 ページ16
貴女side.
佐「………ぇ。っ……え。」
そーっとドアの向こう側に入るとばちりと目があったのはピンクの髪を揺らして必死に声を抑える佐久間さん。
ぺこりと佐久間さんに頭を下げて椅子に腰掛ける。ブースに入っているのは阿部さん。どうやら今日はこの3人だけしかいないみたいだ。
チラチラとこちらを見る佐久間さんに小さく手を振ってブース内にいる阿部さんを見つめる。こちらには気づいていない真剣な横顔にドキドキと心臓が脈を打つのを隠すように、持っていたボールペンをギュッと握りしめた。
(カッコいい……。)
素直にそう思った。
顔がいいとか性格がどうとかではなく純粋に阿部さんの存在に見惚れた。歌詞に合わせて切なそうに笑う表情も、楽しそうな笑顔も。
全てが彼の魅力だと思い知らされた。
「すごい…。」
思わず呟く私と、曲が終わりホッと一息ついた阿部さんの視線が交わったのはほぼ同時。驚いた阿部さんがヘッドホンを外して慌てた様子でこちらに向かってくるのが見えたのも束の間、視界いっぱいにピンクが広がった。
佐「生の神崎さんだぁーっ！！俺めっちゃ会いたかったっす！てか照と一緒とかどうしたんでございやすか！？」
ガバっと勢いよく両手を握られ困惑する私と既に呆れている岩本さん。偶然そこで、と言ったところで佐久間さんの頭にパサッと紙の束が乗った。
阿「こーら佐久間、神崎さん困ってるでしょ。」
佐「にゃは、だって俺の激推しですよ？こりゃもう運命かもしんない。俺今日で一生分の運使い果たしたかもー。」
「私の方が一生分の運使い果たしたかもです。」
佐「…と、いいますと？」
ついつい嬉しくて素直に出そうになった言葉を抑える。不思議そうに瞳を覗き込んでくる佐久間さんの視線から逃げるようにを目を逸らす。
岩「次の待ち神崎さんなんだってさ。それに阿部に用があったらしく、ついでだからって連れてきた。」
佐「レコーディング！？って事はもしや新曲ですか！」
阿「おいこら、その前に俺に用があったって言ってたろ。」
目の前にいた佐久間さんを押し退けるように現れた阿部さんに手に持っていたボールペンを差し出す。
「これ、先日落としていらしたので…渡せてよかったです。あの…この前はありがとうございました。」
しばしの沈黙に耐えられなくてそっと阿部さんを見つめれば。
阿「わざわざ持っててくれたんだ。ありがとう。」
ふわりと笑う阿部さんの手がそっと私の頭を掠めた気がした。
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ぴの(プロフ) - 更新楽しみにしています。 (9月21日 22時) (
レス) id: a8ffbe2352 (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - ぴのさん» ぴのさん、コメントありがとうございます…！ゆっくり、ゆっくりと阿部ちゃんと近づけたく思ってますので温かく見守って頂けますと幸いです。 (9月21日 22時) (レス) @page15 id: 0984604825 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - めちゃくちゃ、続ききになってます。 あべちゃんとヒロインの今後の関わりがたのしみです。 (9月21日 20時) (レス) @page14 id: a8ffbe2352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼 | 作成日時：2023年9月18日 22時
