蒼空の下で２ (ページ29)

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廊下をひとりで歩いていると、
隣のクラスのドアの前で麻也の好きな子が友達と話をしていた。

「え。好きな人出来たの？」

友達が、その子に発した一言につい敏感に反応してしまう。

「…うん。」
その子は小さく頷いた。
ひとつひとつの振る舞いが可愛らしくて、麻也が好きになるのも分かる。

「だれだれ？この学校？」
「同じ学年。」

誰なのだろうか。
応援する。
そう決めた私の中で、その子が“吉田麻也”という名前を発することを願った。

お願い。麻也だって、麻也が好きって言って。
そうしたら麻也は幸せになれるから。
麻也を幸せにして。

じゃないと私、諦めきれそうにないから。

「え～。教えてよ。」
「絶対言わない？」
「言わない笑」
「本当に？」

そんなやりとりいいから、早く答え教えてよ。

その子は小さな声で、
「吉田麻也くん。」
と言った。

あぁ、良かった。
両想いなんだ。
麻也、幸せになれるんだ。

変な気持ちだった。
嬉しくもなく、悲しくもなく、不思議な。そんな気持ち。