蒼空の下で２ (ページ23)

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年下だから、何ですか？─Ｙ.Ｍ─ ページ23

久しぶりに日本に帰国した。
大学院を卒業してドイツの会社に勤めて3年。

そこで大切な人に出会った。
当時はオランダに住んでいた彼は、今はイギリスに渡ってしまい
遠距離恋愛になっている。
その彼は私より4つも年下なんだけれど、
しっかりしていて、すごく優しい人。
職業はとっても特別だけど。

「A、お友達から手紙。」
そう言って母親が私に渡したのはクリームベージュの固いカード。
こういうパターンには物怖じしないよ。もう慣れたから。
カードを開くと“結婚式”の文字。
この子学生時代からの彼氏とゴールインしたんだ。
「ねぇ。またお友達結婚するの？」
「みたいだよ。」

このパターンは完全に来るね、あの話。
実家に帰ってるときくらいくつろがせてよね。

「Aは？そういう人、いないの？」

彼とは付き合って1年半になるけど、タイミングがなくて親には言ってなかった。
「いるよ。」

「どんな人？！何歳？職業は？」
「優しい人。私より4つ年下。」

「4つも年下なの！？
A、年下はやめておきなさい。」
「どうして？」
「後悔するから。女は男についていくものなのよ。」
「年下だけど、しっかりしてるの。」

「じゃあ結婚するの？」
「だから結婚は…
彼は仕事が大変なの。私の事情で結婚なんて出来ない。」

母はガッカリしたように肩を落とした。
どうして、わかってくれないんだろう。

溜め息をつくと、私の携帯が鳴った。
画面に映った名前は“麻也”
タイミングがいいんだか、悪いんだか。

「もしもし？」
「A？今実家だよね？」
「そうだよ。」

「あのさ、お母さんかお父さんいる？」
「お母さんならいるけど…。」
「なら変わって。挨拶する。」

彼の声は真剣だった。
母を私の隣に呼んで、携帯を渡す。

「変わりました、Aの母です。」
母は驚いていた。きっと名前を聞いたからだろう。

そして電話から麻也の声が漏れて聞こえたんだ。

「僕は、年下で頼りないところもありますけど…
Aさんを愛しています。
いつか、Aさんを幸せにします。」

という声が。