【一章 第六話】 再会 ページ10
〜スバルside〜
いきなりのことに驚いた。
曲がり角前で、
女がぶつかってきた――というよりも抱き着いてきた。
この匂い...さっきの女だ。
そして俺はこいつを知っている。
少しだけためらった。
名前を呼ぶのを。
俺に、こいつの名前を呼ぶ資格なんてないんだ。
でも、謝るだけだから――
スバル「...A。」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
〜Aside〜
名前を言われた瞬間、嬉しさで涙があふれた。
――覚えていてくれた。
頭と背中に回された手が暖かく感じる。
なんて言おう。
言いたいことがたくさんあったのに、
――今はこうして――、
今は『スバルお兄ちゃん』の腕の中に入れればそれでいい。
だから少しだけこの時間続きますように――。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
〜小森ユイside〜
突然スバル君に抱き着いた女の子に、
スバル君は『A』と、少し震えた声でつぶやいた。
二人は兄妹なんだと、自然に思った。
そしてその容姿もそっくりだ。
顔は見えないけれど、
彼女の腰まで届く艶やかな銀髪がそっくりだ。
スバル君より低い身長は、私よりも低く、まるでお人形さんのようだ。
そして、ずっと黙っていたみんながしゃべりだした。
アヤト「ずっとどこ行ってたんだよ!A!」
レイジ「これは...驚きました。まさかあなただとは」
カナト「ねぇ。本当に...A...なの?」
ライト「まさかAちゃんとまた再会できるなんてね。うふ。」
シュウ「...久しぶりだな。A」
みんなの問いかけに、
Aと呼ばれた子は顔を上げた。
『みんな...私のこと覚えてるの...?忘れてると思ってた...」
スバル「忘れるわけねぇだろ!俺の...俺の大事な妹のことを...っ!」
スバル君は、
泣きそうな顔をしながら叫んだ。
みんな、
この女の子のことを知っているようだ。
――というかこの女の子に対する態度がほかと違う。
兄妹...というか...家族。
でもそれ以上に、
とてもやさしく、愛するわが子のとの再会のような場面だ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
〜スバルside〜
こいつ、すげぇちいせぇ。
昔は、
俺のほうが少し身長が高いだけだったのに、
今となっては結構な差だ。
今も泣き虫のところは変わっていないのだろう。
――泣く顔も変わらねぇ。
俺の服を濡らしながら泣く妹の姿は、
実に可愛かった。
だけど俺はもう、お前を泣かせない。
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*SSU*(SM) - 2度見しちゃいましたよ〜♪ (2020年4月25日 0時) (レス) id: b6be28c7e2 (このIDを非表示/違反報告)
SM - 最高〜〜! (2020年4月6日 19時) (レス) id: b6be28c7e2 (このIDを非表示/違反報告)
氷室ルミ - バンパイアではなくヴァンパイアです。 (2017年10月29日 22時) (レス) id: 08909c4050 (このIDを非表示/違反報告)
理子 - 坂巻になってますよ! (2017年8月5日 2時) (レス) id: b6c073acda (このIDを非表示/違反報告)
ルリア - 続きを期待してます。 (2017年2月11日 23時) (レス) id: 261f2ab2b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:姪羅 | 作成日時:2016年10月15日 15時