【夢小説】白薔薇の妹【DIABOLIK LOVERS】 (ページ5)

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【一章　第一話】　始まりページ5

――息ができない。

もがけば、もがくほど沈んでいく。

辺りは暗く、人の気配はない。

手を伸ばしても、手を取ってくれる人もいない。

――あぁ......だれか私に気付いてくれないだろうか。

――この暗闇から、助け出してはくれないだろうか...。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

？「―――！――ぃ！おい！」

どこか遠くから声がする。

――誰だろう。

――もしかして、
　私に気付いてくれる？助けてくれる...？

私は無意識のまま、暗闇の中の光に手を伸ばした。

そしてそれに答えるように、

真っ白な光が、あたりを包んだ――。

？「おい。早く起きろ。」

眩しい光が部屋を照らしていた。

――太陽だ。

でもなぜだろう。

少し歪んで...

？「ひどい顔だな。女にしても程があるぞ。」

少し皮肉に笑いながら、

その人は頭をなでてくれる。

『...そんなにひどい顔してる？ルキくん』

少しだけほっぺを膨らませ、

拗ねたように聞いてみる。

ルキ「あぁ。泣き後がある。...怖い夢でも見たか？」

『...うん。でももぅ覚えてないや。』

ルキ「そうか。...なら、そろそろ手を放してくれないか？」

手？なんのことだろ。

不思議に思いながら自分の手に目をやる。

すると、
私が一方的にルキ君の手を握っていた。

ーー離したくない...

そんな感情が脳裏を掠めつつ、

私はあわてて手を放し、ベッドの上で正座する。

そして顔が赤いのがばれぬよう、勢いよく頭を下げた。

『ごめんね！ほんとごめんね！手掴んで...ごめんなさいっ！』

【名残惜しい】と思いつつ謝る。

ルキ「気にするな。それだけ元気なら、心配する必要はないな。」

『心配？』

ルキ「あぁ。おまえ、うなされていたんだ。涙を流しながらな。」

そんなことが...

私は一体どんな夢を見ていたのだろう。

そしてルキ君は一息つき、

ルキ「今日から学校へ行く。とりあえず食事を済ませるぞ。
　話はそのあとだ。」

『学校？どうしてそんな突然に...』

ルキ「『あの方』のめいだ。話はあとだ。まずは着替えろ。」

そういってルキ君は部屋を出て行った。

『あの方って、お父さんのことかな？』

正直、ルキ君たちが言っている『あの方』が誰なのか、

私にはわからない。

そして私は大きく伸びをし、

『とりあえず着替えるか！』

と自分で前を向くように、言い聞かせるように言った。