【夢小説】白薔薇の妹【DIABOLIK LOVERS】 (ページ18)

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【二章　第六話】　歪む視界ページ18

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～Aside～

チクタクと感情のない秒針が一定のリズムを刻んで部屋に響く。

微かに香る血の匂いは、とても【過去】を思い出させる。

部屋から見上げる満月は、
血のように赤黒い光を自ら出しながら雲の間から見え隠れしている。

此処はスバルお兄ちゃんのお部屋。

壁にはいくつもの殴ったような大きな穴があり、
周りにはコンクリートの瓦礫が雑然としている。

部屋の中央には少しだけ埃被ったベッドがあり、
それに寄り添うようにして棺桶が置いてあった。

柔らかい羽毛布団に体を預けながら、
私は愛想よく聞いてみた。

『スバルお兄ちゃんってさ、【人間】は好き？』

スバル「......【人間】なんて、ただの【餌】だ」

棺桶の中で私に背を向けるスバルお兄ちゃんは、
少しだけ間をあけて何でもないように言った。

顔は見えないけれど、【ユイ】のことで思うとこがあるのだろう。

きっと追及すれば【私の知らないお兄ちゃんの顔】が見れるのだろうけど、
数日口をきいてくれなくなるのはちょっとだけ困る。

そんなことを思っていると、今度はお兄ちゃんから質問が飛ばされた。

スバル「お前は、【人間】のことどう思ってんだ？」

少しだけ迷うところが自分にはある。
でも私は、

『......全員が悪い人っては思ってないよ』

それが本心だった。

私を【飼っていた】人でも、本当の家族のように扱ってくれた人もいた。

路地裏生活をしていても、
けがの手当てをしてくれたり、食事を分けてくれる人だっていた。

だから、全員が悪い人だってことは思ってない。

でも......でもやっぱり、少しだけ警戒してしまう。

幼いころとはいえ、自分にはとても怖い体験だったから。

【歪んだ】天井を見つめながら【過去】を振り返っていると、
――突然右手が掴まれる感触があった。

突然で驚きながらも、気づけばスバルお兄ちゃんが私に覆い被さるような形になっていた。

息が頬を掠めるほど近いスバルお兄ちゃん。

自分の顔が真っ赤なのを悟られないようにしながら心配した声を上げると、

スバル「......なんで......なんで泣いてんだよっ！！」

スバルお兄ちゃんは私の眼を見て怒鳴ったのだった。

その泣きじゃくる顔は、
いつしかの子どもの頃を私に思い出させた。

思い出すたびに【歪む】視界は、
私の心を表していたのだった。

――そうか。......私は......家族が大好きだったんだ。