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【二章 第四話】 元は人間 ページ16

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

〜ルキside〜


南中していた太陽が傾き始めたころ。

木々たちの微かな歌声を聞きながら、本を読んでいた。


少し黄ばんだ革表紙。ページをめくるたび仄かに香る湿気の匂い。


少しだけ重く、一見魔術書のような本だ。


――Aがよく読んでいた本だ。


中身は筆記体で書かれたヴァンパイアの話だ。


――くだらない。


読むたびに思う。

何が【退治】だ。


ヴァンパイアだって【元は人間】だったはずだ。

平和を望んだだけの罪のない人間だったはずだ。


――なのになぜ殺しあう。


俺はここからの答えがわからない。

いつもいつも...



突然、『ガチャ』という音がした。

読み終わった本から顔を上げると、【イヴ】が立っていた。


少しばかり顔が暗い。


ルキ「どうした。何かあったか?」


イブを見ながら聞いてみた。


すると、言いにくいことなのだろうか。

口を小さく動かしながらつぶやいたのだった。


ユイ「あの...Aちゃんがその...」


ルキ「旅にでも出たか?」


話をかぶせるように言った。

どうやら合っていたらしい。

目と口を開けたまま動けずにいる。


ルキ「どうせ逆巻の奴らに会いに行ったんだろう。そう気にするな」


俺は本に目を落としながら言った。


ユイ「ぃ...いいんですか?引き止めなくても...」


ルキ「兄弟の再開を引き止める必要があるか?」


ユイ「で...でも...」


ルキ「気にするな。すぐに帰ってこなくても、いずれ帰ってくる」


そうだ。

帰ってくる。

あいつなりの【ケジメ】がついたら帰ってくる。


俺はそう信じている。


たとえ帰ってこなくても、逆巻の奴らに渡すつもりはない。


――捨てた【妹】を、返すわけがないだろ



俺は挑発的な笑みを浮かべ、天を仰いだ。

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作品ジャンル:恋愛
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*SSU*(SM) - 2度見しちゃいましたよ〜♪ (2020年4月25日 0時) (レス) id: b6be28c7e2 (このIDを非表示/違反報告)
SM  - 最高〜〜! (2020年4月6日 19時) (レス) id: b6be28c7e2 (このIDを非表示/違反報告)
氷室ルミ - バンパイアではなくヴァンパイアです。 (2017年10月29日 22時) (レス) id: 08909c4050 (このIDを非表示/違反報告)
理子 - 坂巻になってますよ! (2017年8月5日 2時) (レス) id: b6c073acda (このIDを非表示/違反報告)
ルリア - 続きを期待してます。 (2017年2月11日 23時) (レス) id: 261f2ab2b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:姪羅 | 作成日時:2016年10月15日 15時

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