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それから、しばらくは学校の説明や先生の紹介、
部活動やこれからの授業について。
中学とは全く違う、あまりの説明量の多さにクラスの
みんなも俯く。
先「長くなったけど、初日に話すことはこれぐらいかな」
先「じゃあ、次!お待ちかねの自己紹介しよう!」
《うぇーーい!!!!!!》
《やっときたかー!!》
先生の言葉に食いぎみに反応した男子達は自己紹介が
始まってもなお、爪痕を残す生徒が沢山。
「………七瀬Aです。趣味は……、読書?です。
みんなと仲良くなりたいのでよろしくお願いします」
《うぃ!Aよろしくー!》
《いや趣味読書とか真面目じゃん!七瀬!》
1人の男子生徒が突っ込みをいれると、みんなして
それな!、などのガヤが。
味わったことのない感覚に、自然と頬がゆるむ。
先「次、平野」
私が席に向かうのと同時に、紫耀くんが前に向かって
歩いてくる。
すれ違った瞬間、彼の甘い香りに私の胸がトクンと鳴る。
紫「平野紫耀です。趣味は、ないです!
1年間、よろしくお願いします!」
愛嬌たっぷりに放たれたそのハスキーボイスに、
クラスの空気が一変したのがよく分かった。
《よ!イケメンー!!》
クラス中から歓声と拍手が。
少し顔を赤くして照れ笑う彼がどうしようもなく
愛おしくて、また私の胸は彼にときめく。
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それから、私は慣れない高校生生活に戸惑いながらも
苦手だった友達作りも少しずつ克服していった。
クラスの賑やかな雰囲気にも、だんだんと慣れて、
関わりは一切持ってこなかった男子達にも、
ちゃんと話せるぐらいには成長した。
なんだ、私、ちゃんとやれてるじゃん。
自分で友達作って、放課後遊びに行って、
楽しく過ごせてるじゃん。
私が経験してこなかった《青春》は、想像よりも
輝いていて、心から笑い会える関係がすごく心地よかった。
カラフルに彩られていく私の日常には、常に彼がいた。
紫「Aちゃん、今日の放課後暇?」
「放課後?……特に予定はないけど、」
紫「じゃあさ、駅前に出来た喫茶店!
ずっと気になってたんだけど行く機会なくてさ」
紫「良かったら、一緒にどう?」
「………喫茶店?」
紫「そうそう!結構SNSで話題になってて、
行ってみたいんだよね〜」
とびっきりの笑顔で話すものだから、断る理由なんて
私にはないわけで。
「……私も行きたい、!」
彼の沼に、ハマっていくしかないんだよ。
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作者名:憂流。 | 作成日時:2024年1月1日 16時