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誰もいないトイレで自分の心を落ち着かせる。
すごかったな、
中学校とは違う盛り上がり方で、まるで自分とは
違う世界で起きているような感覚。
トイレの鏡を覗き込む。
そこには、限られた中で精一杯のおしゃれをした
少し暗い雰囲気を纏った自分がいた。
何度も練習した笑顔をもう一度鏡の前で作り、
家を出る前にした、お母さんとの会話を思い出す。
これが、私の一歩踏み出すきっかけになれば
３年間の高校生活もきっと楽しくなるはず。
トイレの時計を確認する。
チャイムがなるまで、あと５分。
これから踏み出す一歩の先に、何が待ち受けてるかは
分からないけど、挑戦せずに終わる第２の人生は
もうこりごり。
もう一度自分に渇を入れて、トイレのドアを開けた。
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やっぱり教室のドアの前で止まってしまう足。
ドアの前からも聞こえる教室中の騒ぎに、
思わずすくんでしまう自分の足にムチを打ち、
勇気をだしてドアを開けた。
_
漂うお祭りムードの中、自分の席に着くと、
たくさんの人に囲まれていた紫耀くんが控えめに
私の肩を叩いた。
紫「大丈夫？突然いなくなっちゃったから。」
眉を下げて、心配そうにこちらを見つめる彼。
「大丈夫。なんもないよ」
小さく微笑み、彼の綺麗な瞳を捉えてそう伝えた。
紫「そっか、よかった」
紫「俺、突然すぎて何も分かんなかったんだけど、
すごい賑やかなクラスってことは分かった 笑」
初日からこんなに騒がれているのに、自覚なしって
やっぱりイケメンは違うなぁと心から思う。
「うん、みんな初日なのにすごい騒いでたね笑」
「紫耀くん、最初からすっごい人気者じゃん」
紫「あだ名とかつけられちゃってるんだけど笑」
ほんと大袈裟すぎるよ笑、と少し恥ずかしそうに笑い、
赤面した彼を見て、私も思わずふっ、と笑みをこぼした。
確かに教室に入った時から《王子様》という声が
あちこちから飛び回っていた。
ｶﾞﾗｶﾞﾗ
先「はーい、席つけ〜」
《うっわ！もう先生きたよ〜》
先「なんだよそれ〜！待ってたんだよな？」
《いや来てほしくなかったっすよ！》
１人の男子生徒と先生に掛け合いに、教室が
どっと笑いにつつまれる。
思ったより、いや、想像を遥かに越える賑やかさに
驚きつつも私もみんなに紛れて、笑みをこぼした。
〜
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作者名：憂流。 | 作成日時：2024年1月1日 16時
