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紫耀くんと一緒に席に着くと、周りにはもうすでに
友達同士のグループが出来はじめていて。
友達作りが大の苦手な私は「初日が肝心」と心に
唱えていたわけで、クラスの雰囲気に不安を抱いた。
紫「あちゃ〜……もうグループ出来始めてるね…」
「……そう、だね、」
紫「頑張って声かけないとなぁ」
周りを見渡しながらそう嘆く彼は、やっぱり私とは
遠くかけ離れた陽キャみたいで。
私も話しかける！と心にもう一度言い聞かせ、
スマホをいじっている隣の子に意を決して話しかけようとしたその時。
《やっば！！めっちゃイケメンいる！！》
教室を突き抜けた声。
声の方に視線を送れば、そこにはまさにクラスの
カースト最上位であろう雰囲気を纏った美少女。
その周りには女子が３人ほど。
《……君だよ！そこ！！、…名前は！！》
彼女が指差した方向は私の後ろ。
後ろを振り帰った瞬間、ぽかんとした声が聞こえた。
紫「……………俺、？」
どうやら標的は紫耀くんのようで、彼女は紫耀くんの
瞳をとらえると、にこっと笑顔を作りよろしくね、と
伝えた。
その瞬間に、思わず見とれてしまうほど。
美男美女というその空間の美しさに声を失った。
《私、山田 南。君は？》
紫「……平野紫耀……です、」
《じゃあ、紫耀…だね！》
いきなり呼び捨てにするあたり、やっぱり彼女は
陽キャなんだなぁと感じる。
クラスの雰囲気は、もう二人の会話に夢中で、
コソコソと小話をする女子や、スマホで写真を
撮っている男子もいる。
この会話を、紫耀くんと南さんの間で聞いている私は
とんでもなく気まずい。
《やばー！初日からイケメンと友達になったわ！》
彼女がそう叫んだのを合図に、教室中が歓声に包まれる。
《南大胆すぎんでしょ！！》
《王子様だよほんとにー！！》
《何、南狙っちゃってんのー！？》
キャーキャー騒いで南さんを囲んでいる女子と、
《やっば！美男美女すぎるっしょ！！》
《王子様だなぁ〜w》
《紫耀！友達なってくんね！！》
馴れ馴れしいほどに紫耀くんに詰め寄る男子。
お祭り状態なクラスの雰囲気に着いていけない自分を
落ち着かせるために私は席を立ち、トイレに向かった。
その瞬間、誰かから視線を感じたけど、振り返る余裕など私にはなくて。
他のクラスの前を早々と通りすぎて、一際静かな
トイレに駆け込んだ。
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作者名：憂流。 | 作成日時：2024年1月1日 16時
