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雅紀「……お帰り、遅かったね？」
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A「ごめ……連絡もしないで……。」
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真夜中に忍ぶように帰ってきて
ベッドに潜り込んできたA
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甘えるようにぎゅっと抱きついて
背中におでこを擦りつけるのが分かった
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こんな風に甘える仕草を見せること自体
Aには珍しくて
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いつもとは違うような
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何かあったのだと察するには
簡単なことだった
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寝返って、その体を抱きしめる
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『あの子は何でも一人で背負っちゃうから。』
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Aのお母さんの言葉が
脳裏をかすめた
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腕の中にいるAは
泣いているのに
泣いてないと言い張る
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強情すぎて
こんなところが放っておけないなんて思えてしまうんだ
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A「雅紀……わたしのこと、嫌いにならないで。」
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Aは腕の中で呟く
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どんな事があっても
嫌いにはならないよ
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そう言えばいいのに
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俺の口からはそれが出てこなかった
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Aは必死に何かにもがいているようで
それを詮索することも出来ず
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何も言わないことが愛情だと
そんな風に思っていた
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キスが欲しいならキスを
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体が疼くなら体を
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俺には
黙ってAの好きなようにさせるぐらいしか出来ない
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自分を殺すように
俺の上に乗って
自分を掻き乱して
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Aは
何にそんなに怯えているの
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俺は
何があっても
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例えAに嫌われても
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君を守っていくと
心に決めているのに
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作者名：四葉（よつば）
作成日時：2013年1月3日 22時
