愛をください。～another story (ページ15)

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…15…『記念日』ページ15

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「雅紀……くん？」

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「……お母さん……。」

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入ろうか

どうしようか

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ウロウロとケーキ屋の前を行ったり来たりしていると

一度だけ会ったことのあるAのお母さんに

バッタリと出会った

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母「どうしたの？こんな所で？」

雅紀「いや……っ！あの……。」

母「ケーキ、買いにきたの？」

雅紀「……はい。でもちょっと恥ずかしくて……。」

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照れながらポリポリと鼻の頭を掻くと

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母「ここのケーキ、Aが好きなのよね。」

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そう言ってふふっと笑った

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雅紀「……聞いてます。」

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一度だけ、Aが話してくれたことがあった

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老舗のケーキ屋さんは

今はイートインのカフェ風になっていて

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男一人で入るのには

勇気がいる店だった

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母「一緒に入る？私じゃ、嫌かしら？」

雅紀「そんなっ！嫌だなんて……っ！」

母「よかったら……少しお茶してかない？お話もしたいし。」

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ふわりと笑ったその顔は

やっぱりどこかAに似ていて

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俺は

誘われるままに

Aのお母さんの後について

ケーキ屋の中へと入った

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ケーキ屋なんて滅多に来ない

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ずらりと並ぶ色とりどりのケーキたち

気後れしながらも

どれにしようかと

必死になって迷う俺がいた

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雅紀「あの……これ……一番小さいの、もらえますか？」

店員「はい、ありがとうございます。」

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店員に

指さしたのは

真っ白なデコレーションケーキで

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小さくても二人で食べるのには

充分な大きさだと思った

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母「雅紀くん、ほらっ！座りましょう？コーヒーでいいかしら？」

雅紀「……はい。」

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窓際の席に

お母さんと二人で座った

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俺としては何となく気恥ずかしいのに

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Aのお母さんは

始終嬉しそうな顔を向けていた

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