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…12…『ささやかな幸せ』 ページ12
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俺は
Aに触れられることが好きだった
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雅紀「きもちい……。」
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そう言うと
Aはふふって小さく笑った
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ふわふわと髪の毛を撫でるその指が
たまらなく好きだったんだ
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仕事を終えてアパートに帰ると
いつも真っ先に見えるのは
Aのエプロン姿だった
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夕飯の支度をするAに
「ただいま。」
そう言うと
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嬉しそうに
「お帰り。」
って笑顔で返してくれて
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それが俺の何よりの宝物だった
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A「先にお風呂入っちゃえば？もうちょっと時間かかるから。」
雅紀「……うん。Aがそう言うなら、そうする。」
A「なにそれ？」
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クスクス小さく笑うAに
名残惜しむように
小さなキスを落として
浴室へ向かった
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Aとの生活が当たり前になり始めていて
Aがこの部屋にいることが
当たり前になり始めていて
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それが
小さくても
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何でもないことが
幸せだと
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ありふれた日常が幸せだと
肌で感じるようになっていたんだ
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作者名：四葉（よつば）
作成日時：2013年1月3日 22時
