愛をください。3 (ページ5)

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84.In a car ページ5

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指定された時間と場所に

足を向ける

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これといった目印も無いその場所は

待ち合わせになんて

全く不向きな場所だと思った

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高層ビルの立ち並ぶ隙間

薄暗い裏通りで彼を待つ

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結局、私は

この程度の女なのかも知れない

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欲しいのは

いつも誰かの持つものばかり

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人目を気にして会う関係を

今になってまた

自分で始めるなんてね

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美和に会うまでは

思ってもいなかったけど

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見覚えのある黒い車が

静かに私の横に滑り込んで停まる

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綺麗な横顔がチラリと私を確認するように見て

無言でその車に乗り込んだ

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シートに体を沈ませて

彼の顔を覗き込むと

薄ら笑うような唇が

静かに動いた

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翔「ほんとに来たんだ。」

A「…………。」

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ＢＧＭさえ無い車の中は

二人の呼吸と

エンジン音だけが響いていて

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動き出した車には

逃げ出すこともできず

ただ、体を預ける他無かった

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