愛をください。3 (ページ40)

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119.Not to be engaged ページ40

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夕飯を終えて

先にお風呂から出た雅紀が

また

ろくに髪の毛も拭かないまま

リビングに戻ってきて

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抱えた缶ビールをテーブルに置いて

勢いよくソファに座った

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A「……また……髪の毛びしょびしょだよ……。」

雅紀「うん。」

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言ってもヘラッと笑って

それを拭くわけでもなく

テーブルに置かれた煙草をくわえて

火を点けた

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煙草に

ポツリと水滴が髪の毛から滴って

じわりと白い紙を濡らす

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A「ほらっ！煙草、濡れちゃってるからっ！」

雅紀「あ～～～そうだね？」

A「なんでいっつもそうなの？」

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首にかけたままのタオルを掴んで

ゴシゴシとその髪の毛を拭くと

チラリと私を覗き見て

唇を緩めた

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雅紀「Aのさ……指が好きなんだ……。」

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A「………？」

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見当違いの返事をする雅紀が

やっぱりよく分からない

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まだ濡れたままの前髪を掻き上げると

目を細めて緩く笑った

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A「わたし、なんでちゃんと髪の毛拭かないのって聞いてるんだけど？」

雅紀「うん。だから……Aの指が好きだから。やらしい指。」

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A「なに……それ……。」

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ぬれた煙草を揉み消して

今度はテーブルに置いた缶ビールを開けた

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やらしい指なんて

何も関係ない話

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どこから出てきたのかさえ

分からない

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