愛をください。3 (ページ39)

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118.知らない方が、幸せページ39

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口からは

勝手に言葉が溢れてくる

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偽物の言葉でも

彼を繋ぎ止めておけるように

思わせぶりな言葉を

必死に頭の中から手繰り寄せていた

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翔『……分かったよ。』

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A「美和を抱くときは、わたしだと思って？」

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翔『……ひどい女だな。』

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A「いいの。ひどい女で。」

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ククッと喉で笑う声が聞こえて

笑いたくもないのに

ひきつりながらも一緒に笑ってる自分がいた

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翔『……分かったよ、それまで指輪のことは誤魔化しておくから。
もうこんなイタズラはしないでくれよ。』

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大きなため息と共に

その電話はプツリと切れた

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指輪は

美和が気づくまで返すつもりはない

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それが

一番の目的だったんだから

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自分の体を使ってまで

果たそうとしたことだから

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休憩室からは

待ちきれないといった様子の薫が

顔を覗かせる

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薫「……終わった？電話。」

A「うん、ごめんね？待たせちゃって。」

薫「大丈夫……ちょっとヘコんでるけど。告る前にフられた気分……。」

A「………。」

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薫は無理して笑顔を作ってみせるけど

今までの櫻井さんとのやりとりを考えると

それに苦笑いでしか返すことが出来なかった

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私は

薫にさえ悪いとは思わない

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知らない方が幸せなことなんて

山ほどあるんだから

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