愛をください。3 (ページ37)

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116.Fall in ページ37

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A「あの……お電話、代わりますので……。」

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携帯を手渡すと薫の顔がパッと輝く

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ゆるゆるに緩んだ薫の顔を見て

きっと恋は

こんな風に始まるんだと

変に冷静に眺めていた

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薫「櫻井さん！こ、こんにちはっ！」

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薫「はいっ！」

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薫「……はい。」

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薫「………は……い。」

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嬉しそうにしていた

その顔が

見る見るうちに曇っていく

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薫「……じゃあまた今度でも……。ごめんなさい、忙しい時に。」

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そう言って

寂しそうに電話を切った

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A「どうしたの？もう、終わり？」

薫「うん、今忙しいからって言われちゃった。」

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A「……そうなんだ。」

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それならそうと

初めに言えばいいのに

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そうすれば薫に繋ぐ前に

切ることだってできたのに

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薫「なんか、次……かけづらいね……。」

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肩を落とした薫の隣で

また私の携帯がブルブルと震える

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『櫻井翔子』

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その文字が画面に流れる

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A「ゴメン！ちょっと……。」

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ギクリとしてそれを手の中に隠して

休憩室を出た

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忙しいと言って

今切ったばかりなのに

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なんでまた？

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流れる文字を見つめながら

着信を繋ぐ

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