愛をください。3 (ページ36)

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115.他人行儀ページ36

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薫「Aっ！ほら起きてっ！お昼だよっ？」

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A「………ん。」

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2時間程度の仮眠のはずが

意外にも熟睡してしまって

揺り起こされた目の前には

期待に胸を膨らませた薫の顔があった

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薫「電話……してくれるよね？」

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A「…………ん。」

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朦朧とする頭で曖昧な返事を繰り返す

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薫「ほら、Aっ！早く早くっ！ちゃんと目覚まして！」

A「……でも……。」

薫「もう二度とこんなお願いしないから！」

A「………。」

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押しに押されて仕方なく

携帯を取り出すと

名刺を握りしめる薫が嬉しそうに笑った

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薫「えっとね～～～櫻井さん番号は～～～090………。」

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それを聞きながら

ポツポツと番号を押す

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スクロールさえすれば出てくる番号も

薫は知らない

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『櫻井翔子』

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この名前も別名に変えておかないと

もしかしたら何かの拍子に

いつ、どんな形で見られるかも知れない

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薫「どう？繋がった？？？」

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顔を覗き込む薫と視線さえ合わせられず

繋がったコールにただ耳を澄ます

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翔『……もしもし？』

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低く

うなるような声が耳元に届く

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A「もしもし……松本、ですけど……。」

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そう切り出すと

クスクス笑い声が聞こえてきて

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翔『なに、松本って……？Aでしょ？』

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A「……はい、Aです。覚えてもらえて嬉しいです。」

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翔『なんかあったの？あ～～～次の予定？出来れば早めに。指輪も持ってんだろ？』

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A「……はい。」

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薫に変に思われないように

他人行儀な言葉を続ける

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隣では「早く早く！」と袖口を引っ張る薫の顔が

横目に見えていた

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